日米の10年国債利回りとは?金利差を公式データで確認する手順
日米の長期金利差は、財務省と米国財務省が毎営業日公表する国債の利回りを引き算すれば自分で出せます。2026年9月8日の10年物は日本2.896%、米国4.68%。確認の手順と、政策金利・スワップポイントとの違いを整理しました。
為替の解説でよく出てくる「日米の金利差」は、他人の計算を待たなくても自分で出せます。日本の国債の利回りは財務省が、米国の国債の利回りは米国財務省が、それぞれ毎営業日公表しているためです。2026年9月8日の10年物は、日本が2.896%、米国が4.68%でした。差を取れば1.784ポイントです。
はじめに区別しておきたいのが、この記事で扱うのは公表されている数値と、その確認手順だけだということです。金利差が何ポイントになれば円安になる、といった予想はしません。当サイトは相場の見通しを出さず、確認できた一次情報と確認日を示す方針で運用しています。
読み終えると、長期金利が国債の売買で決まる仕組み、日米の年限別の利回りを自分で並べる手順、そして政策金利・国債の利回り・スワップポイントという3つの数字を取り違えないための基準が分かります。為替レートが何によって決まると説明されているかは、為替レートは誰が決めているのかにまとめてあります。
「長期金利」は、発行済みの国債が売買されて決まります
長期金利と呼ばれるとき、多くの場合は10年物の国債の利回りを指しています。ここで押さえておきたいのは、その数字が発行のときに決まった利率ではなく、すでに発行された国債が市場で売買された結果の利回りだという点です。
国債は、満期までに受け取る利子と、償還のときに戻ってくる金額があらかじめ決まっています。受け取る側の金額が固定されているため、その債券を高い値段で買った人ほど、投資額に対する取り分は小さくなります。逆に安く買えた人の取り分は大きくなります。これが「価格と利回りが反対に動く」と説明される中身です。
だから長期金利は、中央銀行が「今日からこの水準にします」と決めた数字ではありません。毎営業日、売買のなかで動きます。ニュースで「長期金利が上昇した」と流れたとき、その裏側では国債の価格が下がっているということでもあります。
2026年9月8日の日米の利回りを、同じ表に並べる
次の表は、日本と米国の公表値をそのまま転記し、いちばん右の列だけを引き算で埋めたものです。単位はどちらも%で、差はポイント(%同士の引き算)で示しています。
| 年限 | 日本(財務省) | 米国(米国財務省) | 差(編集部の引き算) |
|---|---|---|---|
| 2年 | 1.848% | 4.15% | 2.302ポイント |
| 5年 | 2.258% | 4.39% | 2.132ポイント |
| 10年 | 2.896% | 4.68% | 1.784ポイント |
| 20年 | 3.717% | - | - |
| 30年 | 3.961% | 5.25% | 1.289ポイント |
| 40年 | 3.965% | (公表なし) | - |
米国の20年物は公表されている年限ですが、今回は値を確認していないため「-」にしました。米国財務省が40年物の利回りを公表していないことは、方法論のページに掲載年限(4週から52週の割引債、2年・3年・5年・7年・10年の中期債、20年・30年の長期債)が並んでいることから確認できます。
図にすると、差は年限によって同じではないことが見て取れます。この日は2年で2.302ポイント、30年で1.289ポイントと、短いほうが開いていました。「日米金利差」と一語で語られていても、2年の話なのか10年の話なのかで数字は1ポイント近く変わります。引用された数字を使う前に、どの年限のものかを確かめてください。
数字の性質にも違いがあります。日本側は小数第3位まで、米国側は小数第2位までで公表されています。桁をそろえたくなりますが、四捨五入して並べると公表値そのものが変わってしまうため、当サイトでは公表された表記のまま転記しています。
米国の値は「Daily Treasury Par Yield Curve Rates」で、実際の約定価格ではありません。方法論のページには、ニューヨーク連邦準備銀行が営業日の午後3時30分ごろに取得する「indicative, bid-side market price quotations (not actual transactions)」を入力に用いると書かれています。掲載時刻は米国東部時間の午後6時までが目安とされています。日本時間で見るなら、米国の当日分は翌朝に確認できるということです。
政策金利と国債の利回りは、別の数字です
もうひとつ混同しやすいのが、中央銀行が決める政策金利です。こちらは市場の売買で動くものではなく、会合で決まり、決まった日から適用されます。
日本銀行が公表している基準割引率および基準貸付利率は、2026年6月17日実施で1.25%です。その前は2025年1月27日実施の0.75%、さらにその前は2024年8月1日実施の0.50%でした。2026年6月16日の金融政策決定会合では「金融市場調節方針の変更について」が公表されており、金融市場調節方針そのものが変更されています。ただしその公表文はPDFで提供されており、今回は本文の文言を読み取れませんでした。無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導水準として何%と書かれているかは、記事末尾の「確認できなかった項目」に残しました。
米国側は、連邦公開市場委員会(FOMC)が決めるフェデラルファンド金利の誘導目標です。連邦準備制度理事会の一覧では、直近の変更は2025年12月11日の0.25ポイント引き下げで、誘導目標は3.50〜3.75%。同じページには2026年の変更が掲載されていません。
政策金利は短い期間の金利であり、10年や30年の国債の利回りとは水準も動き方も違います。上の表で見たとおり、2026年9月8日の日本の10年物は2.896%で、基準貸付利率の1.25%とは1.6ポイント以上離れています。「日本の金利」と書かれた数字が、どちらを指しているかは文脈からしか分かりません。
日本銀行の金融政策決定会合は、2026年の残りが9月17日・18日、10月29日・30日、12月17日・18日と公表されています。会合の日に政策金利が動く可能性はありますが、当サイトは何が決まるかを予想しません。日程を控えておくと、その日に自分の建玉をどうしておくかを先に決められます。指標や会合の日程をどう扱うかは初心者が経済指標をどう見るかでも扱っています。
スワップポイントは、金利差をそのまま受け取れる仕組みではありません
FXで金利の話が出てくるのは、多くの場合スワップポイントを通じてです。ここで起きやすい誤解が、「日米の金利差が1.784ポイントなら、その分を受け取れる」という読み替えです。付与額を決めているのは中央銀行でも財務省でもなく、取引するFX会社です。
同社の取引ルールには、建玉を持ったままニューヨーククローズを迎えるとスワップポイントが余力に発生すると書かれています。あわせて、国内外の祝祭日の影響でロールオーバーが行われず、スワップポイントが発生しない営業日があることも明記されています。つまり受け払いは毎日一定ではなく、カレンダーの影響を受けます。
この記事にスワップポイントの金額を書いていないのは、値が日ごとに更新されるからです。書き写せばその瞬間から古くなります。受け取る側でも支払う側でも、金額は口座を開く会社の公表ページで確認してください。買いと売りで額が違うこと、条件によっては受け取る側だと思っていたのに支払いになることは、マイナススワップで扱いました。金利差とスワップポイントの関係そのものはスワップポイントが発生する理由に、会社ごとの並べ方はスワップポイントの比較にあります。
金利の高い通貨を買えば受け取れる、という説明にも同じ注意が必要です。政策金利が高い国の通貨は値動きが大きいことがあり、受け取ったスワップポイントを上回る評価損が出ることもあります。通貨の側から見た整理は高金利通貨とは何かにまとめています。
ニュースの「金利」を、3つに切り分ける
ここまでに出てきた数字を、確認先ごとに整理します。「金利が上がった」という説明を見たとき、次のどれの話なのかを先に決めると、確認するページが一意に決まります。
更新の頻度が違う点も見落とされがちです。国債の利回りは毎営業日動き、政策金利は会合の日にしか動きません。日本銀行の無担保コールO/N物レート(速報)は、通常日で午後5時15分ごろ、月末日(年末日を除く)で午後6時15分ごろに更新されると案内されています。更新の間隔が違う数字を、同じ勢いで語らないでください。
自分で確認するときの手順
数字を引用する前に、次の6つを順に確かめます。1つでも答えられない項目があるなら、その数字は使わずに保留するという判断も選べます。
- 政策金利・国債の利回り・スワップポイントのどれの話かを決める
- 国債の利回りなら年限を確認する(2年と30年では、この日は1ポイント以上違いました)
- 日本側は財務省の「国債金利情報」、米国側は米国財務省の「Daily Treasury Par Yield Curve Rates」で、同じ日の値を取る
- 差を出すときは引き算した本人が誰かをはっきりさせる(この記事の差は編集部の計算です)
- 米国の当日分は東部時間の午後6時までに掲載されるため、日本時間では翌朝に確認する
- スワップポイントの金額は、中央銀行や財務省ではなく、取引する会社の公表ページで確認する
差そのものは、2つの公表値の引き算にすぎません。その数字が為替の水準を説明できるかどうかは、別の問題です。当サイトでは、差の大きさから値動きを結論づけないという方針を取っています。
確認できなかった項目と、次に見直す日
今回確認できなかったことを残します。第一に、2026年6月16日の金融政策決定会合で公表された「金融市場調節方針の変更について」は、日本語・英語ともPDFで提供されており、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導水準として記載された数値を読み取れませんでした。この記事に日本の政策金利の水準として書いたのは、日本銀行の統計ページで確認できた基準割引率および基準貸付利率の1.25%(2026年6月17日実施)だけです。第二に、無担保コールO/N物レートの実績値は公表ファイルの形式の都合で取得できず、公表時刻の案内だけを引用しました。第三に、米国の20年物の利回りは今回取得していません。第四に、財務省が公表する国債金利情報の算出方法と公表時刻については、案内ページに項目があることは確認しましたが、説明文そのものを読み取れていません。いずれも推測で埋めず、空欄のまま残しています。
この記事の数値は2026年9月9日に確認しました。国債の利回りは毎営業日、政策金利は会合ごとに変わります。当サイトは30日を目安に見直しており、次回の確認予定は2026年10月9日です。日付の離れた数字を見つけたら、この記事の値より各公表ページの表示を優先してください。この記事に広告リンクは置いていません。
出典と確認日の一覧
- 財務省「国債金利情報」2026年9月8日の2年 1.848%、5年 2.258%、10年 2.896%、20年 3.717%、30年 3.961%、40年 3.965%(2026年9月9日確認)
- 米国財務省「Daily Treasury Par Yield Curve Rates」2026年9月8日の2年 4.15%、5年 4.39%、10年 4.68%、30年 5.25%(2026年9月9日確認)
- 米国財務省「Treasury Par Yield Curve Methodology」入力に用いる気配値の取得時刻、掲載年限、掲載時刻の目安(2026年9月9日確認)
- 日本銀行「基準割引率および基準貸付利率」1.25%、2026年6月17日実施。前回は2025年1月27日実施の0.75%(2026年9月9日確認)
- 日本銀行「金融市場調節方針に関する公表文(2026年)」2026年6月16日「金融市場調節方針の変更について」の掲載(2026年9月9日確認)
- 日本銀行「金融政策決定会合の日程」2026年9月17日・18日、10月29日・30日、12月17日・18日(2026年9月9日確認)
- 日本銀行「無担保コールO/N物レート(速報)」更新は通常日の午後5時15分ごろ、月末日は午後6時15分ごろ(2026年9月9日確認)
- 連邦準備制度理事会「Open Market Operations」フェデラルファンド金利の誘導目標3.50〜3.75%、2025年12月11日の決定(2026年9月9日確認)
- GMOクリック証券「FXネオ 取引ルール」スワップポイントの発生時点、ロールオーバーが行われない営業日、取引時間の記載(2026年9月9日確認)
この記事の更新・確認情報
- 情報の基準日
- 編集部による確認日
- 情報の変動性
- 高(相場・条件が変わりやすい情報)
- 次回確認予定
- 一次情報の件数
- 9件(本文末の参考資料に記載)
金融庁は、外国為替証拠金取引について相場変動、金利変動、流動性、信用、システムなど複数のリスクを挙げています。 ロスカットは損失の拡大を抑える仕組みですが、急変時に証拠金を上回る損失が生じる可能性まで消すものではありません。 「ロスカットがあるから安全」と考えず、取引数量と損切りを先に決めてください。 出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」
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