政策金利とは?日米欧英豪5中央銀行の水準を公式ページで確認する手順
政策金利は中央銀行ごとに名前も形も違います。米国は3.50〜3.75%の誘導目標レンジ、英国は3.75%のバンクレート、ユーロ圏は3つの金利。2026年9月11日時点の公表値と、各行の公式ページで自分で確かめる手順をまとめました。
政策金利とは、中央銀行が金融政策として決める短い期間の金利のことです。市場の売買で毎日動く金利とは違い、会合で決まり、決まった日から適用されます。そして厄介なことに、その数字は中央銀行ごとに名前も形もそろっていません。2026年9月11日に各行の公式ページで確認したところ、米国は3.50〜3.75%という幅、英国は3.75%という1つの値、ユーロ圏は2.25%・2.40%・2.65%という3本立てでした。
この記事では、日本・米国・ユーロ圏・英国・オーストラリアの5つの中央銀行について、政策金利にあたるものの正式な呼び名、確認できた水準、そしてその数字が載っているページを並べます。あわせて、実際に確認して見つかった2つの落とし穴を扱います。ひとつは公表された日と適用が始まる日がずれること、もうひとつは日本の政策金利だけが公式サイトの表から読み取れなかったことです。
先に断っておくと、この記事は金利の先行きを予想しません。どの数字がどのページに載っていて、いつ更新されるのかだけを扱います。公表値の引き算から為替の方向を決める記事ではない、という点で日米の10年国債利回りとは?金利差を公式データで確認する手順と同じ方針です。
「政策金利」と呼ばれているものは、中央銀行ごとに別物です
まず5つを並べます。呼び名の列は、各中央銀行が自分のページで使っている言い方です。日本語の記事では全部まとめて「政策金利」と書かれますが、公式ページで探すときはこの呼び名のほうが手がかりになります。
| 中央銀行 | 公表されている呼び名 | 2026年9月11日に確認した水準 | 直近で水準が動いた日 |
|---|---|---|---|
| 米国(連邦準備制度) | フェデラルファンド金利の誘導目標レンジ | 3.50〜3.75% | 2025年12月11日(0.25ポイント引き下げ) |
| ユーロ圏(欧州中央銀行) | 預金ファシリティ/主要リファイナンスオペ/限界貸付ファシリティ | 2.25%/2.40%/2.65% | 2026年6月17日(適用開始日) |
| 英国(イングランド銀行) | バンクレート | 3.75% | 本記事では未確認(2026年7月30日は据え置き) |
| オーストラリア(準備銀行) | キャッシュレート目標 | 4.35% | 2026年5月6日(0.25ポイント引き上げ) |
| 日本(日本銀行) | 無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導水準 | 本記事では未確認(後述) | 2026年6月16日に変更が公表 |
形が違うのは書き方の癖ではなく、金融調節のやり方が違うからです。米国は1つの値ではなく下限と上限を持つレンジで示します。2026年7月29日の声明には「The Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 3-1/2 to 3-3/4 percent」とあり、3-1/2、3-3/4という分数表記が使われています。3.50〜3.75%と書き直したのはこの記事のほうで、原文は分数です。
オーストラリアは1つの値ですが、表の見出しは「Cash Rate Target」で、やはり目標という語が入ります。実際のコール市場の金利がその水準ちょうどになるとは限らないためです。英国のバンクレートだけは、ページに「Current Bank Rate 3.75%」とそのまま書かれています。
同じ目盛りに置くと、英国の3.75%が米国のレンジの上限とちょうど同じ位置に来ることが分かります。ただし同じ数字でも意味は同じではありません。米国の3.75%はレンジの上限であって、そこに張り付くことを約束した値ではないからです。「英米の政策金利は同水準」と書かれた文章を見かけたら、上限を比べているのか、レンジの中央を比べているのかを確かめてください。
ユーロ圏だけ、金利が3本あります
ユーロ圏の表には、1つの日付に対して3つの数字が並びます。銀行から見た立場が3通りあるためで、中央銀行に一晩預けるときの金利、担保を差し入れて資金を借りる基本的な取引の金利、そして一晩だけ借りるときの金利が、それぞれ別に公表されています。
日本語のニュースで「ECBが利下げ」と書かれるとき、どの1本を指しているかは書かれていないことがあります。3本が同じ幅で動いているうちは順位が入れ替わらないので混乱は起きませんが、数字を引用するときはどの行の値なのかを書き添えてください。2.25%と2.65%では0.40ポイント違い、これは米国の直近2回分の利下げ幅に近い大きさです。
決まった数字と、いま効いている数字がずれる週があります
ここが実際に確認して驚いた点です。欧州中央銀行の金利表は、いちばん上の行が適用開始日2026年9月16日で2.50%・2.65%・2.90%、その1つ下の行が適用開始日2026年6月17日で2.25%・2.40%・2.65%でした。この記事を書いている2026年9月11日は、上の行の日付にまだ届いていません。つまり表の最上段は、まだ適用されていない金利です。
同じページの日付列の見出しは「適用開始日」であって、決定日ではありません。ECBのページには2026年9月10日付の金融政策の公表が並んでいますが、その公表文はPDFで提供されており、本記事では中身を読み取っていません。読み取れているのは、金利表に載っている日付と数字だけです。
このずれは「知らないと数字を1つ間違える」という実害につながります。9月11日から15日までの間に「ユーロ圏の預金ファシリティは2.50%」と書けば、公表された表の数字としては正しくても、その時点で適用されている金利ではありません。引用するときは、値と一緒に適用開始日を書いてください。
もうひとつ、この週は決定が集中しています。米国の会合は9月15日と16日、英国の公表予定は9月17日、日本銀行の会合は9月17日と18日です。米国の結果が日本時間の何時に出るかはFOMCの結果は日本時間の何時に出る?公表資料と日程の確認手順で扱っています。日本銀行の2026年の残りの会合は、9月17日・18日のほか、10月29日・30日、12月17日・18日です。
日本の政策金利は、公式サイトの表から読み取れませんでした
5つのうち、日本だけが空欄になっています。理由は水準が公表されていないからではなく、公表のされ方が他の4行と違うからです。
米国・ユーロ圏・英国・オーストラリアは、いずれも現在の水準がHTMLのページに書かれていて、ブラウザでそのまま読めます。日本銀行の場合、政策金利にあたる無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導水準は「金融市場調節方針」の中に書かれ、その公表文は原則としてPDFで提供されています。2026年の一覧を見ると、1月23日の「当面の金融政策運営について」だけがHTMLで、3月19日・4月28日・6月16日・7月31日はPDFでした。
| 中央銀行 | 現在の水準をHTMLで読めるか | 公表文の形式 | 本記事での確認結果 |
|---|---|---|---|
| 米国(連邦準備制度) | 読める(変更履歴の一覧) | 声明はHTML | 3.50〜3.75%を確認 |
| ユーロ圏(欧州中央銀行) | 読める(適用開始日つきの金利表) | 公表文はPDF | 表から3本の値を確認 |
| 英国(イングランド銀行) | 読める(ページ冒頭に現在値) | 発表はHTML | 3.75%を確認 |
| オーストラリア(準備銀行) | 読める(実施日つきの一覧表) | - | 4.35%を確認 |
| 日本(日本銀行) | 本記事では見つけられず | 公表文は原則PDF | 誘導水準の現在値を確認できず |
HTMLで読めた1月23日の公表文には「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.75%程度で推移するよう促す。」と書かれており、採決は賛成8・反対1でした。その後、2026年6月16日に「金融市場調節方針の変更について」が公表されているため、この0.75%程度はすでに古い数字です。変更後の水準はPDFの中にあり、本記事では読み取れませんでした。推測で埋めることはしないので、表の該当欄は空けてあります。
かわりに確認できたのが、日本銀行の統計ページにある基準割引率および基準貸付利率です。こちらは2026年6月17日実施で1.25%、その前が2025年12月22日実施の1.00%、さらに前が2025年1月27日実施の0.75%、2024年8月1日実施の0.50%と、HTMLの表で履歴まで追えます。ただしこれは政策金利そのものではありません。補完貸付制度で日本銀行から資金を借りるときの金利であり、金融市場調節方針で示される誘導水準とは別の数字です。ニュースで「日銀が金利を1.25%に」と書かれていたら、どちらの話かを確かめてください。
日本銀行は「金融政策の概要」で、2013年1月に消費者物価の前年比上昇率2%を「物価安定の目標」と定めたと説明しています。物価との関係はインフレと為替の関係で扱いました。
政策金利を、FX口座の画面の数字と混ぜないでください
政策金利は、FXの取引画面には出てきません。画面に出るのはレートとスワップポイントで、どちらも政策金利とは別の仕組みで決まります。
スワップポイントの金額を決めているのは中央銀行ではなく、取引するFX会社です。2国間の金利差が背景にあるのは確かですが、差をそのまま受け取れる仕組みではありません。仕組みそのものはスワップポイントとは何かに、受け取るつもりが支払いになる場合はマイナススワップにまとめています。
もうひとつ、長期金利と混ぜないことです。ニュースで「金利が上昇」と流れたとき、それが会合で決まる政策金利の話なのか、市場の売買で毎営業日動く国債の利回りの話なのかで、確認すべきページも更新の頻度もまるで違います。オーストラリアのキャッシュレート目標が4.35%で高いから通貨も上がる、という読み方もできません。高金利の通貨に何が起きやすいかは高金利通貨とは何かを参照してください。
引用する前に決める3つのこと
ここまでに出てきた注意を、実際に数字を書くときの順番に並べ直します。
- どの呼び名の金利かを先に決める。誘導目標レンジ、バンクレート、預金ファシリティ、キャッシュレート目標は、どれも「政策金利」と訳されますが別の数字です
- その値の適用開始日を確かめる。ユーロ圏のように、公表済みでもまだ適用前の行が表の最上段に来ることがあります
- レンジなら上限と下限の両方を書く。片方だけ書くと、他国の1点の値と並べたときに比較がずれます
そのうえで、確認できなかったものは空欄のままにしてください。この記事で日本の欄を空けているのは、書けなかったことを読者に伝えるためです。
この記事の水準は2026年9月11日に確認しました。ユーロ圏は2026年9月16日から表の値が変わることが公表済みで、米国は9月15日・16日、英国は9月17日、日本は9月17日・18日に会合または公表が予定されています。数日で古くなる種類の数字です。当サイトは30日を目安に見直しており、次回の確認予定は2026年10月11日です。それより前でも、各公表ページの表示を優先してください。
なお、ニュージーランド準備銀行のオフィシャル・キャッシュレートも並べる予定でしたが、公式ページの取得がHTTP 403で拒否されたため、この記事には含めていません。迂回はせず、確認できなかったこととして残します。
出典と確認日の一覧
- 連邦準備制度理事会「Open Market Operations」直近の変更は2025年12月11日の0.25ポイント引き下げ、誘導目標レンジ3.50〜3.75%(2026年9月11日確認)
- 連邦準備制度理事会「Federal Reserve issues FOMC statement」2026年7月29日「The Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 3-1/2 to 3-3/4 percent」(2026年9月11日確認)
- 連邦準備制度理事会「Meeting calendars and information」2026年の会合は9月15日・16日、10月27日・28日、12月8日・9日(2026年9月11日確認)
- 欧州中央銀行「Key ECB interest rates」適用開始日2026年9月16日が2.50%/2.65%/2.90%、適用開始日2026年6月17日が2.25%/2.40%/2.65%(2026年9月11日確認)
- 欧州中央銀行「Monetary policy statements」2026年9月10日付の公表の掲載(2026年9月11日確認)
- イングランド銀行「The interest rate (Bank Rate)」現在のバンクレート3.75%、2026年7月30日は据え置き、次回の公表予定は2026年9月17日(2026年9月11日確認)
- オーストラリア準備銀行「Cash Rate Target」キャッシュレート目標4.35%、直近で水準が動いたのは2026年5月6日の0.25ポイント引き上げ(2026年9月11日確認)
- 日本銀行「当面の金融政策運営について」2026年1月23日「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.75%程度で推移するよう促す。」賛成8・反対1(2026年9月11日確認)
- 日本銀行「金融市場調節方針に関する公表文(2026年)」2026年6月16日「金融市場調節方針の変更について」の掲載。本文はPDFで未読(2026年9月11日確認)
- 日本銀行「基準割引率および基準貸付利率」1.25%(2026年6月17日実施)、1.00%(2025年12月22日実施)、0.75%(2025年1月27日実施)、0.50%(2024年8月1日実施)(2026年9月11日確認)
- 日本銀行「金融政策決定会合の日程」2026年9月17日・18日、10月29日・30日、12月17日・18日(2026年9月11日確認)
- 日本銀行「金融政策の概要」2013年1月に消費者物価の前年比上昇率2%を「物価安定の目標」と定めたとの説明(2026年9月11日確認)
この記事の更新・確認情報
- 情報の基準日
- 編集部による確認日
- 情報の変動性
- 高(相場・条件が変わりやすい情報)
- 次回確認予定
- 一次情報の件数
- 12件(本文末の参考資料に記載)
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