FXの逆張りとは?順張りとの違いと、含み損の上限を先に決める手順
逆張りは相場の流れに逆らう取引です。順張りとの違い、各社が有効と書く場面、ナンピンの注意点を用語解説の記載で確かめ、強制決済の水準が50%か100%かで含み損に耐えられる幅が変わることを13社の公表値で整理します。
逆張りは、OANDA証券の用語解説では「相場の流れに逆らうトレード」と説明されています。同じページは取引の形を「価格が上昇トレンドのときに「売り」、下落トレンドのときに「買い」を行う手法です。」と書いており、いま出ている方向と反対側に注文を置くのが逆張りです。
言葉の意味だけなら1行で終わります。実務で難しいのは、入ったあとの扱いのほうです。逆張りは、注文を出した直後から含み損を抱えやすい形になっています。相場がまだ動いている方向へ建てるのではなく、反対側へ建てるためです。確認した資料がそろって損切りの話を書いているのも、この性質から来ています。
この記事では、7つの解説ページの記載を突き合わせて、逆張りの定義と有効だと書かれている場面を整理し、そのうえで含み損をどこまで抱えるかという上限が、自分の口座の強制決済の水準で先に決まってしまうことを13社の公表値で確かめます。流れに乗る側の手法はFXのブレイクアウトとは?だましを前提に注文と待ち方を決める手順で扱っているため、ここでは反対側だけを扱います。
「相場の流れに逆らうトレード」が、3つの資料に共通する定義です
まず3つの用語解説の書き方を並べます。表現は違いますが、指している動作は同じです。
| 資料 | 言葉の説明 |
|---|---|
| OANDA証券「逆張りとは」 | 相場の流れに逆らうトレード。価格が上昇トレンドのときに「売り」、下落トレンドのときに「買い」を行う手法 |
| みんなのFX「FX用語集 逆張り」 | トレンドの方向と逆に向かって買いを入れたり、売りを入れたりする取引 |
| 松井証券「FXにおける逆張りとは?」 | 相場のトレンド(方向性)と逆方向に振れることを期待してポジション(未決済で保有している通貨ペア)を持つ取引手法 |
いずれも2026年10月2日に各ページで確認した記載です。並び順は本文で触れる順で、評価ではありません。
反対側の順張りについても、同じ資料が定義を置いています。OANDA証券は「順張りは、逆張りとは反対に相場のトレンド(流れ)と同じ方向のポジションを持つ取引方法のことをいいます。」とし、SBI FXトレードは「順張りとは、価格が上昇トレンドのときに「買い」、下落トレンドでは「売り」をする取引方法です。」と書いています。2つの立場と2つの相場の向きを掛け合わせると、組み合わせは4つになります。
どちらが優れているかという話ではありません。OANDA証券は「一般的に、FX市場ではトレンドが発生するとしばらく続く傾向があるため、順張りは王道的な手法といわれています。」と書いたうえで、「一方で、逆張り手法は、トレンド転換時やレンジ相場で有効な手法です。」と続けています。王道と書かれているのは順張りのほうですが、逆張りを否定する書き方はしていません。有利・不利を数値で比べた資料は、今回確認した範囲にはありませんでした。
有効な場面として挙がるのは、レンジ・急変動・行きすぎの3つ
では、どういう場面で使うものとして説明されているのか。SBI FXトレードは逆張りのエントリー方法として「レンジ相場の安値のとき・高値のとき」「短期的な急変動が起こったとき」「買われすぎ・売られすぎなとき」の3つを挙げています。松井証券は有効な場面として、レンジ相場のほかに要人発言による転換局面や反発局面を挙げています。
| 場面 | 書かれている内容 | 出どころ |
|---|---|---|
| レンジ相場 | 上限(高値)と下限(安値)が決まった範囲内で値動きを繰り返す相場。ボックス相場とも言う | 外為どっとコム「用語集 レンジ相場」 |
| 行きすぎ | 買われすぎ・売られすぎの判断にはオシレーター系の指標が使われる | SBI FXトレード、松井証券 |
| 転換局面 | トレンド転換時やレンジ相場で有効な手法 | OANDA証券「逆張りとは」 |
| 短期的な急変動 | 急変動が起こったときを、エントリー方法の1つとして挙げている | SBI FXトレード |
2026年10月2日に各ページで確認した記載です。使う指標として名前が挙がるのは、RSI、ストキャスティクス、ボリンジャーバンド、MACDといったオシレーター系と、移動平均線です。ただし指標が示す水準は資料ごとに違います。RSIの買われすぎの線が70・75・80と分かれることはFXのRSIの見方|買われすぎの線が70・75・80と資料ごとに分かれる理由で確かめています。線の位置を決めずに「売られすぎだから買う」と判断することはできません。
逆に、指標が機能しない場面の説明も同じ各社が書いています。OANDA証券はボリンジャーバンドの解説で、「ローソク足が±2σに沿うよう推移するバンドウォークの動きが見せることがあります。これはトレンド続伸を示唆するので、その状態が継続する限りは利益の拡大に期待が持てます。」と説明しています。バンドの外側に張り付いたまま値動きが続く形は、逆張りの立場からは不利な動きがそのまま続いている状態です。
「いまがレンジかどうか」を決める数値は、資料にありませんでした
ここが実務で最初に詰まります。レンジ相場で有効だと書かれていても、いま目の前の値動きがレンジなのかトレンドなのかを、何で判定するのかは書かれていません。
外為どっとコムの用語集は、レンジ相場を「上限(高値)と下限(安値)が決まった範囲内で値動きを繰り返す相場のことです。」と定義しています。定義としては明確ですが、何本の高値と安値がそろえば「決まった」といえるのか、どの時間足で見るのかは、この定義からは決まりません。レンジの上限と下限を引く作業そのものはFXの水平線の引き方|2点で結ぶ線と、割り込んだと判断する条件の決め方で扱っています。
レンジが相場全体のうちどれくらいの割合を占めるのか、という数字をよく見かけますが、今回確認した各社の資料にその割合は書かれていませんでした。出所を示せないため、この記事では割合を書きません。トレンドの向きを平均で見る方法についてはFXの移動平均線とは?平均が遅れて動く仕組みと、種類・期間の決め方で、線が価格に遅れて動く性質を実測しています。
判定の基準を自分で決めずに始めると、相場が転換したから入ったのか、まだ続いているトレンドの途中で入ったのかを、あとから区別できません。松井証券は注意点として「感覚で取引をしないことです。根拠がないまま「相場が逆方向に動くはず」といった予測を立ててポジションを持つと」と書いています。根拠を言葉で書けるかどうかが、判定の基準を持っているかどうかの目安になります。
読みが外れたあとの持ち方が、順張りと決定的に違います
逆張りで読みが外れると、価格は入った方向と反対へ動き続けます。松井証券はデメリットを「手法自体の難易度が高いという点です。相場の読みを誤れば、価格が反転せず「そのまま上がり続ける」「そのまま下がり続ける」リスクがあります」と書いています。OANDA証券も「エントリー後にトレンドが順行する場合を想定しておく必要があります。」としたうえで、「そのため、順張りのトレード以上に損切りを徹底する必要があります。」と続けています。
このとき出てくるのがナンピンです。OANDA証券はナンピンを「保有している通貨の価格が買った時より下がった場合に、買い増しして平均取得単価(平均コスト)を下げる取引方法です。」と定義し、ナンピン売りについては「保有している売りポジションが値上がりした際に、さらに売り増しをして平均取得単価を上げる手法です。」と説明しています。反転を待つ姿勢と、下がったところで買い増す動作は、同じ考え方の延長線上にあります。だからこそ、逆張りの注意点としてナンピンが名指しで出てきます。
OANDA証券は同じページで、デメリットとして「大きな損失になるリスクが高い取引手法です。」「証拠金維持率が低くなります。」「強制ロスカットになってしまう可能性があります。」「心理的負荷が大きくなりやすいです。」の4点を挙げています。逆張りの解説のほうでも「逆張りを使う際は、無計画なナンピン(難平)の取引を行わないようにすることが大切です。」と書かれています。禁止と書かれているのではなく、無計画なものが名指しされている点が要点です。回数と合計数量の上限を先に決めてあれば計画になり、決めていなければ無計画になります。
ここで効いてくるのがFXの証拠金維持率とは?100%・200%の意味です。証拠金維持率は有効証拠金を必要証拠金で割った比率なので、含み損が増えると分子が減り、ナンピンで建玉を増やすと分母が増えます。逆張りで待ちながら買い増すという動作は、分子と分母の両方を維持率が下がる方向へ動かします。1回の損失額と利益額の設計そのものはFXのリスクリワードとは|計算方法とスプレッドで変わる実際の比率で計算できます。
耐えられる幅は、口座の強制決済の水準で決まります
「反転するまで持つ」という持ち方には、自分の意思とは別の終わりがあります。FXのロスカットとはで扱っているとおり、証拠金維持率が所定の水準へ達すると、FX会社がポジションを強制決済します。つまり、含み損に耐えられる幅の上限は、自分ではなく口座の条件が決めています。
その水準は会社ごとに違います。当サイトが公式の取引ルールページから値を記録している13社を、そのまま並べます。
記載をそのまま書き出すと次のようになります。
| 会社(サービス) | 公表されている強制決済の条件 | 確認日 |
|---|---|---|
| FXネオ(GMOクリック証券) | 証拠金維持率が50%を下回った場合 | 2026年8月16日 |
| DMM FX | 証拠金維持率が50%以下となった場合 | 2026年8月16日 |
| SBI FXトレード | 証拠金維持率が原則20秒ごとの判定により50%を下回った場合は即時決済 | 2026年8月16日 |
| 外貨ex(GMO外貨) | 維持率50%未満になった時(ロスカットアラートは維持率100%未満) | 2026年8月16日 |
| IG証券 FX | 口座の残高が「レバレッジ取引にかかる維持証拠金額」の75%以下となった場合 | 2026年8月16日 |
| みんなのFX | 証拠金維持率が100%以下になった場合、全建玉を自動決済 | 2026年8月16日 |
| LIGHT FX | FX口座の証拠金維持率が100%以下になった場合、全建玉を自動決済 | 2026年8月16日 |
| トライオートFX(インヴァスト証券) | 有効比率100%以下(プレアラート150%以下、アラート120%以下) | 2026年8月16日 |
| 岡三オンラインFX | ロスカット基準額=必要証拠金額×100%(アラート基準額は必要証拠金額×200%) | 2026年8月16日 |
| MATSUI FX(松井証券) | ロスカット率を選択できる。個人口座は50%、60%、70%、80%、90% | 2026年8月16日 |
| 外貨ネクストネオ(外為どっとコム) | 有効比率がロスカットレベル(100%〜50%の間で10%刻みに設定)を下回った際に随時執行 | 2026年8月16日 |
| 外為オンライン | L25Rコースは100%、L25コースは20%を下回ると自動的にロスカット | 2026年8月16日 |
| FXブロードネット | 有効証拠金が各コースの取引証拠金の設定割合を下回ると自動的に反対売買(ブロード1コースは1%) | 2026年8月16日 |
数字の意味を仮定で確かめます。以下は仕組みを理解するための計算で、特定の会社の条件や実際の相場を示すものではありません。必要証拠金が40,000円の建玉を持っているとします。証拠金維持率は有効証拠金を必要証拠金で割った比率なので、維持率100%で止まる口座は有効証拠金が40,000円へ減った時点、維持率50%で止まる口座は20,000円へ減った時点が、判定の水準になります。同じ建玉でも、含み損を抱えたまま持ち続けられる余地は2倍違う計算です。反転を待つ手法では、この差がそのまま「待てる長さ」の差になります。
選べる会社では、設定が自分の手元にあります。松井証券は個人口座のロスカット率を50%から90%まで10%刻みで選ぶ形、外為どっとコムは100%から50%までを10%刻みで設定する形と書いています。選べるということは、初期設定のまま気づかずに使っている可能性があるということでもあります。条件が書かれているのは、どの会社でも取引ルールのページです。
なお、水準が低いほど有利という読み方はできません。強制決済が遅く始まる口座は、それだけ含み損が大きくなってから決済されることにもなります。どちらが良いかではなく、自分の口座がどちらなのかを知っているかどうかが問題です。
1回目の前に、右の列を埋めておきます
ここまでに出てきた内容を、注文を出す前の手順に落とします。資料から取れる部分と、自分で決めて記録する部分を分けて並べます。
6つのうち、資料から答えが出るのは中央の列だけです。右の列は、どの会社の解説を読んでも書かれていません。書かれていないから自由というわけではなく、書いていない状態で取引を始めると、同じ場面でも日によって違う判断をすることになります。
最後に、資料の側がどう締めているかを引いておきます。松井証券は「あらかじめ損切りラインを決めておくことは有効です」と書いています。OANDA証券は「根拠を持って行ったトレードであれば、万が一読みが外れた場合でも、予想通りに相場が動かなかった原因を探ることで、次回の予測精度を上げることができます。」としています。外れること自体は前提に置かれていて、資料が求めているのは外れ方を説明できる状態にしておくことです。
逆張りは、流れに逆らう分だけ、外れたときに相場がそのまま進み続けます。上限を決めずに始めると、終わりを決めるのは口座の強制決済の水準になります。その水準が50%なのか100%なのか、選べる口座ならいまどれを選んでいるのかを、1回目の注文より先に確かめてください。
この記事の更新・確認情報
- 情報の基準日
- 編集部による確認日
- 情報の変動性
- 中(サービス・制度の情報)
- 次回確認予定
- 一次情報の件数
- 9件(本文末の参考資料に記載)
金融庁は、外国為替証拠金取引について相場変動、金利変動、流動性、信用、システムなど複数のリスクを挙げています。 ロスカットは損失の拡大を抑える仕組みですが、急変時に証拠金を上回る損失が生じる可能性まで消すものではありません。 「ロスカットがあるから安全」と考えず、取引数量と損切りを先に決めてください。 出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」
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