FXのリスクリワードとは|計算方法とスプレッドで変わる実際の比率

損切りまでの幅と利確までの幅の比であるリスクリワードについて、pipsと金額での計算方法、スプレッドを入れると比率が下がる仕組み、利確を遠くしても勝ちやすくならない理由、計画と実際のずれをR単位で記録する方法を整理します。

FXのリスクリワードとは|計算方法とスプレッドで変わる実際の比率(FXプロ)
本記事は情報提供を目的としたもので、投資判断を勧誘するものではありません。FXには元本割れのリスクがあります。

FXでいうリスクリワードは、1回の取引で「損切りになったときに失う幅」と「利確できたときに得る幅」の比です。損切りまで20pips、利確まで40pipsなら、1対2(リワードがリスクの2.0倍)と表します。注文を出す前に、損切り価格と利確価格さえ決まっていれば計算できます。

ただし、この比率が大きいほど有利、とは言えません。比率はあくまで1回あたりの損と得の大きさを表すだけで、どれだけの割合で利確まで届くかは含んでいません。さらに、チャート上で測った比率と、実際に約定した価格で測った比率は、スプレッドや約定のずれのぶんだけ食い違います。

この記事では、リスクリワードの計算方法をpipsと金額の両方で確認したあと、スプレッドを入れると比率がどれだけ下がるか、比率と勝率を合わせた期待値の見方、利確を遠くしても勝ちやすくはならない理由を扱い、最後に計画と実際のずれを「R」という単位で記録する方法を示します。

リスクリワードは「損切りまでの幅」と「利確までの幅」の比

リスクリワードは、相場で使われる言い方です。この記事では、次の意味で使います。

  • リスク:入った価格から損切り価格までの幅。損切りになったときに失う大きさ
  • リワード:入った価格から利確価格までの幅。利確できたときに得る大きさ
  • リスクリワード:リワード÷リスク。「1対2」「1:2」「2.0」のように書きます

書き方は人や書籍によって「2対1」と逆に並べることもあります。自分の記録ではどちらを先に書くかを決めて統一してください。この記事では、リスクを1としてリワードが何倍かを書く形にそろえます。

pipsで比率を出したら、取引数量を掛けて金額にします。米ドル/円のような円を含む通貨ペアでは1pipsが0.01円なので、1万通貨なら1pipsの値動きで100円の損益になります(0.01円×10,000通貨)。

項目 1万通貨での金額 1,000通貨での金額
リスク(損切りまで) 20pips 2,000円 200円
リワード(利確まで) 40pips 4,000円 400円
リスクリワード 40÷20=2.0 2.0 2.0

表のとおり、比率は取引数量を変えても変わりません。数量が変えるのは金額だけです。そのため、1回に失ってよい金額は数量で合わせ、比率は損切りと利確の位置で決める、という役割分担になります。1回に失う金額から数量を逆算する手順は初心者のロット数の決め方に、pipsと円の換算はpipsとはにまとめてあります。

ここで、この記事の後半で使う「R」を定義しておきます。1R=その取引の入った価格から損切り価格までの損失額です。上の1万通貨の例なら1R=2,000円で、利確できれば+2R(4,000円)、損切りなら−1R(−2,000円)と書けます。取引ごとに金額が違っても、Rで書けば同じ物差しで比べられます。

スプレッドを入れると、比率はチャートより下がる

チャート上で入る位置・損切り・利確を決めて比率を測ると、実際の比率より大きく見えることがあります。理由はスプレッドです。

金融先物取引業協会は、「買値と売値の差」をスプレッドと説明しています。例として「1ドル107円10銭~15銭」という表示は、1ドルを買うときの値段が107円15銭、売るときの値段が107円10銭であることを意味し、1万通貨を107円15銭で買い、同時に107円10銭で売ると、5銭×1万通貨で500円になると示しています。同じ瞬間でも、買うときと売るときで価格が違うということです。売値(Bid)と買値(Ask)の読み方はFXのBidとAskとはで扱っています。

チャートを売値(Bid)で表示している場合、買いで入ると次のようになります。新規の買いは買値(Ask)で成立し、決済の売りは売値(Bid)で成立します。つまり、入った価格はチャートで見た位置よりスプレッドのぶん高くなり、損切りまでの幅は広がり、利確までの幅は狭まります

チャート上で100.00円に入り、99.80円で損切り、100.40円で利確する買いの計画では20pips対40pipsで1対2.0だが、実際はAskの100.01円で買うため21pips対39pipsとなり、比率が約1対1.86へ下がることを左右に並べて示した図
左はチャート上の計画、右は同じ注文を実際に出したときの幅です。スプレッド1pipsのぶん、オレンジの損失側が1pips伸び、青の利益側が1pips縮みます。下の枠には、それぞれの比率と、その比率で損益がゼロになる勝率(リスク÷(リスク+リワード))を載せています。価格とスプレッドは仮定で、取引手数料とスワップポイントは含めていません。

どの価格で決済注文が判定・約定するかは、FX会社の取引ルールによって扱いが異なることがあります。上の図は、買いがAsk、決済の売りがBidで成立するとして計算しています。自分の口座では、取引説明書や取引ルールのページで確認してください。

影響の大きさは、損切りと利確の幅がどれだけ狭いかで変わります。スプレッドを1pipsと仮定し、チャート上ではどれも1対2で計画した場合を並べます。

チャート上の損切り・利確 実際のリスク 実際のリワード 実際の比率 損益ゼロになる勝率
5pips・10pips 6pips 9pips 1.50 40.0%
10pips・20pips 11pips 19pips 約1.73 約36.7%
20pips・40pips 21pips 39pips 約1.86 35.0%
50pips・100pips 51pips 99pips 約1.94 34.0%
100pips・200pips 101pips 199pips 約1.97 約33.7%

チャート上の1対2なら、損益がゼロになる勝率は約33.3%です。損切りまで50pips以上ある取引では差が1ポイント未満にとどまりますが、5pips・10pipsの取引では比率が2.0から1.50まで下がり、必要な勝率は40.0%まで上がります。表の数値は計算値で、スプレッドの仮定を変えれば結果も変わります。

売りで入る場合は向きが逆になります。新規の売りはBidで成立し、決済の買いはAskで成立するため、Bidのチャートで損切りの線を引いていると、チャート上の価格が線に届く前に、Askが損切り価格に達することがあります。

金融先物取引業協会の学習サイト「学ぼう!FX」のページ。FX取引の概要やリスクに関する学習項目が並んでいる
公式ページの引用キャプチャです。 この節で引用したスプレッドの説明は、この学習サイトの「FX取引の概要」にある「スプレッド、手数料について」のページに掲載されています。同じページで協会は、インターバンク市場の流動性が低下するとスプレッドが広がる場合があること、米国雇用統計などの重要経済指標の発表の前後や、テロや大震災などが発生した際には平時よりも広がっている場合があることを挙げています。出典:金融先物取引業協会「学ぼう!FX」スプレッド、手数料について(記載内容の確認日:2026年9月19日)。

スプレッドが広がる場面で入ると、表の右の2列はさらに悪くなります。比率を計算するときは、入る時点で画面に出ているスプレッドを使ってください。スプレッドそのものの仕組みはスプレッドとは、広がりやすい場面はスプレッドが広がるときにあります。狙う幅がごく小さい取引のコストの考え方はスキャルピングの損益分岐で扱っています。

比率だけでは有利か決まらない

リスクリワードが2.0でも、利確まで届く割合が低ければ資金は減ります。比率と勝率を1つの数字にまとめるのが、1回あたりの期待値です。Rで書くと、次の式になります。

1回あたりの期待値(R)=勝率×リスクリワード−(1−勝率)×1

スプレッドや手数料を差し引いたあとの比率を使うのが前提です。いくつかの組み合わせで計算すると、次のとおりです。

勝率 比率1.0 比率2.0 比率3.0
30% −0.40R −0.10R +0.20R
40% −0.20R +0.20R +0.60R
50% 0.00R +0.50R +1.00R

比率2.0でも勝率30%なら1回あたり−0.10Rで、続けるほど資金は減ります。逆に、比率1.0でも勝率が50%を上回っていれば、計算上はプラスになります。比率と勝率は、片方だけを見て判断できません。平均利益と平均損失の比から、収支がゼロになる勝率の境目を表にしたものはコツコツドカンとはに載せています。

注意したいのは、この表の「勝率」は、その比率で損切りと利確を置いたときの勝率だということです。比率を変えれば、勝率も変わります。次の節で、その向きを確かめます。

利確を遠くしても、利確まで届く回数は増えない

比率を上げる方法は、利確を遠くするか、損切りを近くするか(またはその両方)です。どちらを選んでも、勝率に対する影響の向きは決まっています。

入った位置を0R、損切りを−1Rとして、価格がいったん+1.5Rまで上がったあと−1Rまで下がる仮定の値動きに対し、利確を+1Rに置いた計画Aは途中で利益確定になり、+2Rに置いた計画Bは届かずに損切りになることを示した折れ線図
損切りの位置は同じで、利確の位置だけが違う2つの計画を、同じ値動きに当てています。計画Aは+1Rの線に触れた時点で終わり、計画Bは+1.5Rで反落して−1Rの線に届きます。値動きは仮定です。

図の値動きでは、利確を+1Rに置いた計画Aは勝ち、+2Rに置いた計画Bは負けになりました。逆の結果になる値動きはありません。+2Rへ届く値動きは、その途中で必ず+1Rを通るからです。損切りの位置が同じなら、計画Bが勝つ場面では計画Aも必ず勝っています。そのため、利確を遠くすると、利確まで届く割合は下がるか、よくて同じです。上がることはありません。

損切りを近くする場合も同じ理屈です。入った位置から10pips下に損切りを置いた計画と、20pips下に置いた計画を比べると、20pips下まで下がる値動きは、その途中で必ず10pips下を通ります。損切りを近くすれば、損切りにかかる割合は上がるか、よくて同じです。

ここから言えることは2つあります。

1つ目は、比率を上げても、期待値が上がるとは限らないことです。比率が上がったぶんを、勝率の低下が打ち消すことがあります。どちらが大きいかは、相場と自分の入り方によって違い、事前の計算では分かりません。

2つ目は、比率を変えたら、勝率は測り直すことです。1対1で記録した勝率を、1対2や1対3の計算に流用すると、期待値を大きく見積もることになります。損切りと利確の位置を決めるルールを変えたときは、新しいルールでの記録を一定数ためてから期待値を計算します。損切りと利確の位置そのものの決め方は、初心者の損切り設定初心者の利確設定にあります。

計画した比率と、実際に取れた比率はずれる

注文前に1対2で計画しても、決済のあとに測ると1対2になっていないことがあります。ずれる原因は、大きく分けて約定と操作の2つです。

約定の側では、損切りに使う逆指値注文が、指定した価格どおりに成立するとは限りません。GMOクリック証券は、逆指値注文を利用する際には「指定価格と実際に約定される価格との間に差が生じる可能性があり、この差をスリッページと呼びます」と説明し、相場が急変するタイミングでは価格の変動幅が大きくなるため、スリッページが発生しやすくなるとしています。みんなのFXも、指値注文と逆指値注文の説明の中で「スリッページの発生により指定レートを超える場合もございます」と注記しています。

金融先物取引業協会は「FX取引に係る主なリスク」で、為替相場が短い時間に急激に変動する事象(フラッシュ・クラッシュ)が発生することもあるとし、そのような場合には市場の実勢価格とかけ離れたレートで約定されるなど、顧客に不利益が生じる可能性や、損失拡大を抑制するためのロスカット機能が十分に発動せず、預託した証拠金以上の損失が発生することがあると説明しています。−1Rのはずの損失が、−1Rより大きくなる場面があるということです。逆指値注文の仕組みは逆指値注文とは、約定差の記録のしかたはスキャルピングのスリッページ対策で扱っています。

操作の側では、決済注文を途中で動かすことがずれの原因になります。含み益が出たところで利確を待てずに手動で決済すると、リワードは計画より小さくなります。含み損が出たところで損切り価格を遠ざけると、リスクは計画より大きくなります。どちらも、1回だけ見れば小さな違いに見えます。

1対2で計画した10回の取引の損益をR単位で並べた棒グラフ。4回の利益のうち6回目だけが+0.6Rで、6回の損失のうち8回目だけが−1.4Rになっている。計画どおりなら合計+2.0Rのところ、実際の合計は+0.2Rにとどまっている
青が利益、オレンジが損失の回です。破線は計画どおりに決済できていた場合の値で、6回目と8回目だけが計画から外れています。勝ち4回・負け6回という回数は計画と同じでも、この2回だけで合計は+2.0Rから+0.2Rへ減ります。10回の内容は仮定です。

図の10回を集計すると、利益の回の平均は+1.65R、損失の回の平均は約−1.07Rで、実際に取れた比率は約1.55です。計画した2.0との差は、6回目と8回目の2回だけから生まれています。勝ち負けの回数だけを見ていると、この差には気づけません。比率のずれは、勝率とは別に記録しないと見えないということです。

記録に「R」の欄を足す

計画と実際のずれを数えるには、取引のたびに次の欄を埋めます。決済後の履歴だけでは、あとから復元できない欄が含まれています。

書くタイミング 使い道
損切りまでの幅・利確までの幅(pips) 新規注文の前 計画した比率を出す
入る時点のスプレッド 新規注文の直前 実際の比率を見積もる
1Rの金額 新規注文の前 損益をR単位に直す分母にする
実際の損益(円) 決済の直後 Rに直す分子にする
実際の損益(R) 決済の直後 実際の損益÷1Rの金額で計算する
計画から外れた理由 決済の直後 約定のずれか、自分の操作かを分ける

いちばん大切なのは、「計画から外れた理由」を約定と操作に分けて書くことです。約定のずれは、入る時間帯やスプレッドの確認で減らせる余地があります。操作のずれは、決済注文を新規注文と同時に置き、途中で触らないことで減らせます。新規と決済をまとめて出す方法はOCO注文のやり方IFO注文のやり方にあります。

月に一度、Rの欄から次の3つを数えます。

  1. 実際に取れた比率:利益の回の平均R÷損失の回の平均Rの絶対値。計画した比率と比べます
  2. −1Rを超えた損失の回数:損切りが計画どおりに働かなかった回です。理由の欄で約定か操作かを見ます
  3. 1回あたりの平均R:全取引のRの合計÷回数。この記事の期待値の式を、自分の記録で測ったものです

3つ目がマイナスなら、比率を上げる前に、まず1つ目と2つ目で計画どおりに決済できているかを確かめます。計画どおりに決済できていない状態で比率を変えても、変えた効果を記録から読み取れません。欄の作り方と月単位の見直しの手順はトレード日記の振り返り方に、1回の損失が積み重なったときの資金の減り方はFXのドローダウンとはにまとめてあります。

よくある質問

リスクリワードは1対2以上にするべきですか

決まった基準はありません。この記事の期待値の表のとおり、比率1.0でも勝率が50%を上回れば計算上はプラスになり、比率3.0でも勝率が25%を下回ればマイナスになります。比率の数字だけを目標にすると、利確を遠くして勝率を下げるだけになることがあります。自分のルールでの記録から比率と勝率を両方測り、1回あたりの平均Rで判断します。

途中で利確を近づけるのは悪いことですか

計画を変えた理由が記録に残っているなら、それ自体が悪いわけではありません。ただし、変えたぶんだけ実際の比率は計画より下がります。含み益を失いたくないという理由だけで近づけているなら、図の6回目と同じことが繰り返されています。変える条件を事前に決めて書いておき、その条件に当てはまった回だけ変えるようにすると、記録から効果を確かめられます。

スプレッドが固定されていない口座では、どの値で計算すればよいですか

新規注文を出す直前に画面に表示されているスプレッドで計算します。スプレッドは時間帯や相場の状況で変わるため、前日に見た値や、FX会社が広告している値をそのまま使うと、実際の比率を大きく見積もることがあります。記録の欄に入る時点のスプレッドを書いておけば、あとから実際の比率とのずれを確かめられます。

参考資料

この記事の更新・確認情報

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低(基本概念の情報)
次回確認予定
一次情報の件数
4件(本文末の参考資料に記載)

金融庁は、外国為替証拠金取引について相場変動、金利変動、流動性、信用、システムなど複数のリスクを挙げています。 ロスカットは損失の拡大を抑える仕組みですが、急変時に証拠金を上回る損失が生じる可能性まで消すものではありません。 「ロスカットがあるから安全」と考えず、取引数量と損切りを先に決めてください。 出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」

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