トレード日記を表計算で作る|行と列の決め方
トレード日記を表計算ソフトで作る手順を、1行1取引の行の決め方、口座の履歴から転記する列と自分で書く列の分け方、取り込み前に決める日付と時刻の基準、月1回の突き合わせ、記録を残す年数の順に整理します。
トレード日記が続かない原因は、書く気持ちよりも表の形にあることが多いです。1件ずつの取引が別の行に並んでいないと、あとから数えられません。数えられない記録は、読み返す以外の使い道がなくなります。
この記事が扱うのは、表計算ソフト(ExcelやGoogleスプレッドシートなど)で日記を組み立てるときに決めることだけです。残す項目そのものはFXを始めたら取引記録を残そう、たまった記録の読み方はトレード日記の振り返り方にまとめてあります。
先に結論を書きます。行は価格と損益が1組になる単位で作ります。列は、口座の履歴から転記できるものと、その場で書かないと残らないものに分けます。日付と時刻の基準は、履歴を取り込む前に決めます。そして月に1回、口座側の合計と突き合わせます。
行は、価格と損益が1組になる単位で作る
「1行1取引」とよく言われますが、FXでは1取引の数え方が一通りではありません。新規注文と決済注文の件数は一致しないためです。1万通貨を買って、5,000通貨ずつ2回に分けて決済すれば、注文は3件、決済価格は2つになります。
行を分ける基準は、価格と損益が1組になるところです。上の例なら、決済ごとに価格と損益が別に出るため、日記も2行になります。逆に、5,000通貨ずつ2回に分けて建てた持ち高を1回で決済した場合は、決済が1件でも建値が2つあるため、やはり2行に分けます。
平均建値でまとめて1行にすると、どの根拠で入った持ち高がどう終わったのかが消えます。入る条件を2つ使い分けているなら、その2つを比べられなくなるのがいちばん痛いところです。
行と口座の履歴を結ぶために、注文番号や約定番号のような識別子の列を1つ持たせます。履歴に識別子が無い場合は、約定日時と数量を組み合わせた自前の番号を振ります。これがあると、突き合わせで差が出たときに、どの行が足りないのかをすぐに特定できます。
まだ決済していない建玉は、日記には行を作りません。損益が確定していないためです。保有中のものは別のシートに置き、決済したら日記へ移します。この決め方にすると、日記の合計は常に確定した損益だけになり、口座の実現損益と比べられる状態になります。
列は、どこから手に入るかで分ける
列を考えるときは、項目の重要度ではなく入手経路で分けます。あとから何度でも取り直せる列と、その場で書かないと二度と手に入らない列があり、手間をかける場所が逆になるためです。
取引中に埋めるのは右側だけにします。約定価格や損益を取引のたびに手で写していると、作業量が増えるわりに記録の価値は上がりません。同じ数字が口座の履歴に残っているからです。
右側でとくに落としやすいのが、保有中の証拠金維持率の最低値です。これは持っている間の画面にしか出ず、決済後の履歴には残りません。読み方は証拠金維持率とはで扱いました。もう一つは、条件がそろわず見送った場面です。約定が無いため、履歴には「0件」としてすら残りません。
| 列 | どこから入れるか | 入れるタイミング | この列で数えるもの |
|---|---|---|---|
| 注文番号などの識別子 | 口座の履歴 | 週末 | 行と履歴の対応 |
| 約定した日時 | 口座の履歴 | 週末 | 曜日別・時間帯別の件数 |
| 通貨ペア・売買方向・数量 | 口座の履歴 | 週末 | 通貨ペア別の損益 |
| 約定価格 | 口座の履歴 | 週末 | 発注価格との差 |
| 売買損益・手数料・スワップ | 口座の履歴 | 週末 | 月ごとの内訳 |
| 注文前に決めた、入る条件 | 自分で記入 | 注文前 | 条件ごとの件数と成否 |
| 損切り価格と許容した損失額 | 自分で記入 | 注文前 | 計画と結果の差 |
| 証拠金維持率の最低値 | 取引画面 | 保有中 | 月内のいちばん低い値 |
| ルールを守れたかどうかの印 | 自分で記入 | 決済の直後 | 守れなかった件数 |
| 見送った場面 | 自分で記入 | 見送ったとき | 見送りの回数 |
いちばん右の列は、その列で何を数えるのかを書いたものです。ここが埋まらない列は、集計に使われません。感想を書く列を作るなら、集計には使わないと決めて、週次の数え上げからは外します。
履歴を取り込む前に、日付と時刻の基準を決める
履歴の取り込みは、ダウンロードして貼り付けるだけの作業に見えますが、先に3つ決めておかないと集計がずれます。あとから直すときは、過去のぶんをすべて取り直すことになります。
1つ目は、並べ替えに使う日付です。GMOクリック証券のFXネオでは、取引履歴のCSVを会員ページの「マイページ」から「精算表」の「取引履歴・CSV」で取り出し、取引口座を選んだうえで受渡日と約定日のどちらかを選択し、期間を指定して検索します。どちらを選ぶかで同じ期間の件数が変わるため、日記の側も基準をそろえ、どちらで抽出したかを決めておきます。判断した日と結果を結びたいなら、約定日のほうが素直です。
2つ目は、1日と1週の区切りです。同じFXネオの取引時間は、公式の説明では月曜午前7時から土曜午前7時までで、米国夏時間の期間は月曜午前7時から土曜午前6時までとされています。米国夏時間は3月の第2日曜から11月の第1日曜までです。
カレンダーの日曜から土曜で週を切ると、週の始まりと終わりが取引できない時間に当たります。取引時間に合わせて月曜の朝から土曜の朝までで切るほうが、1週間の件数と損益が実際の取引と一致します。ただし終わりの時刻は夏時間で1時間動くので、区切りの時刻を数式に直接書かず、設定用のセルに置いて切り替えられるようにします。時間帯そのものの考え方はFXの取引時間は何時から何時までにまとめてあります。
3つ目は、取り込む時間帯です。同じ会社のCSVダウンロードには、3時30分から6時30分はメンテナンスのため利用できないという注記があります。朝の時間に取り込む習慣にすると、週によって作業ができません。取り込みは夜のうちか、6時30分より後に回します。
ここに挙げた時刻と手順は、いずれもGMOクリック証券のFXネオの条件です。取引時間、メンテナンスの時刻、履歴の取り出し方は会社ごとに違います。自分の口座の取引ルールとよくある質問で、同じ3点を確認してから表を作ってください。
月に1回、口座の合計と突き合わせる
日記は、書いた時点では正しいかどうか分かりません。口座側の数字と合うかどうかだけが、唯一の答え合わせです。月に1回、日記の損益合計と口座の実現損益を比べます。ここが合っていれば、行の作り方と転記は崩れていません。
年に1回は、年間損益報告書と比べます。GMOクリック証券のFXネオでは、会員ページの電子書類から確認でき、毎年1月上旬に電子交付されます。記載されるのは年間の売買損益、年間の手数料(税込)、年間のスワップポイントの合計と、この3つを合計した年間損益金額です。日記の金額列を同じ3つに分けておけば、1年ぶんをそのまま突き合わせられます。
| 合わない症状 | 疑うところ | 直し方 |
|---|---|---|
| 日記の件数が履歴より少ない | 分割した決済を1行にまとめた | 価格と損益が分かれる単位で行を分ける |
| 件数は合うが損益が合わない | 未決済の評価損益を混ぜた | 決済が終わった行だけを集計対象にする |
| 月の境目だけずれる | 約定日と受渡日が混ざっている | どちらの基準かを列で固定する |
| 合計は合うが内訳が合わない | 手数料とスワップを1列にまとめた | 売買損益・手数料・スワップの3列に分ける |
| 手数料が0なのにコストを感じる | 手数料が約定価格に含まれる形 | 発注価格と約定価格の差を別の列で見る |
いちばん下の行は、手数料の表示だけを見ていると見落とします。金融先物取引業協会は、マークアップ手数料が1銭の場合、ドル円を110円00銭で買う注文を出すと、実際の取引では110円01銭で買いが約定するという例を示しています。つまり手数料の列が0でも、コストが約定価格に含まれている場合があります。コストの種類はFXのスプレッドとはで扱いました。
突き合わせで差が出たときは、原因を直してから次の月に進みます。差を残したまま月をまたぐと、どの月の数字が信用できるのか分からなくなり、トレード日記の振り返り方で行う件数の数え上げも使えなくなります。
記録は何年ぶん残すか
保存期間は、好みではなく手続きの側から決まります。国税庁は、先物取引の差金等決済による損失を翌年以後3年間にわたり繰り越せるとしています。条件として、損失が生じた年分で申告書付表と計算明細書を添付した確定申告書を提出し、その後において連続して付表を添付した確定申告書を提出し、繰越控除を受ける年分でも付表と計算明細書を添付した確定申告書を提出することが必要とされています。損失が複数年にわたる場合は、最も古い年分から順に控除されます。
つまり、損失が出た年から数えて4年分の記録が関係します。途中の年に取引が無くても申告を続ける仕組みなので、年ごとにファイルを閉じて残し、どの年の分かが分かる名前を付けます。手続きの中身はFXの損失の繰越控除とFXの確定申告のやり方にまとめてあります。
残すのは日記の表だけではありません。取り込む前のCSVを、加工せずそのまま残します。表の数式を書き換えて数字が変わったときに、戻れる場所がそこしかないためです。なお、GMOクリック証券のFXネオの説明では、確定申告の際に年間損益報告書を添付する必要はないとされています。それでも数字の突き合わせには使えるので、交付されたものは年ごとに保管します。
もう1つ、置き場所の注意があります。報告書や取引画面には口座番号や氏名が入ります。日記と同じフォルダに入れたまま共有リンクを作ると、記録を見せるつもりで口座情報まで渡すことになります。共有する必要があるときは、日記の表だけを別に分けます。
列を増やすのは、数えたいものが決まったとき
最初から列を多くすると、1件の入力に時間がかかって続きません。自分で書く列は3つから始めます。注文前に決めた入る条件、損切り価格、ルールを守れたかどうかの印です。これだけでも、週単位で守れなかった件数は数えられます。
列を足すのは、週次の集計で説明できない差が出たときです。たとえば同じ条件なのに結果が分かれるなら、その差を説明しそうなもの(時間帯、保有時間、指標発表の有無)を1列だけ足します。足す前に、その列で何を数えるのかを1文で書けるか確かめます。書けないなら、まだ必要な列ではありません。
入力は、できるだけ選択式にします。自由記述だと語句が揺れ、「損切り」「ロスカット」「切った」が混ざって数えられなくなります。色や太字で意味を持たせるのも避けます。並べ替えや集計をすると、書式に込めた意味だけが消えるためです。印は記号ではなく、1と0のように集計できる値で入れます。
よくある質問
表計算ソフトとアプリのどちらで作るのがよいですか
どちらでも構いませんが、条件が2つあります。1行1取引の形で取り出せることと、CSVなどで書き出せることです。書き出せない道具だと、乗り換えるときに記録が取り残されます。自動で記録してくれるアプリは約定後の事実を残せますが、注文前に決めた条件や見送った場面は残りません。自分で書く列は、どの道具を選んでも自分で埋める前提で考えます。
取引のたびに履歴を取り込む必要がありますか
必要ありません。約定価格や損益は口座の履歴にあり、あとから何度でも取り出せます。取引中に書くのは、注文前に決めた条件、損切り価格、保有中の証拠金維持率の最低値、ルールを守れたかどうかの印だけにします。履歴の転記は週末にまとめて行い、取り出せない時間帯を避けて実行します。
1か月続けたのに、集計から何も分からないときはどうしますか
まず、件数が足りているかを確認します。取引回数が少ない月は、条件ごとの件数が1件や2件にしかならず、偶然と区別できません。その場合は結果の良し悪しではなく、列が埋まっているかどうかだけを見ます。注文前の条件が空欄の行があれば、翌月はそこを埋めることだけを目標にします。見送った回数も数えておくと、条件が厳しすぎたのか、相場の側が動かなかったのかを後から比べられます。
参考資料
- GMOクリック証券 よくあるご質問「【FXネオ】取引履歴をCSVでダウンロードする方法を教えてください。」(2026年10月23日確認)
- GMOクリック証券 よくあるご質問「FXネオ取引の取引時間を教えてください。」(2026年10月23日確認)
- GMOクリック証券 よくあるご質問「【FXネオ】年間損益(年間損益報告書)の確認方法」(2026年10月23日確認)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1523「先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」(2026年10月23日確認)
- 金融先物取引業協会「学ぼう!FX」スプレッド、手数料について(2026年10月23日確認)
この記事の更新・確認情報
- 情報の基準日
- 編集部による確認日
- 情報の変動性
- 中(サービス・制度の情報)
- 次回確認予定
- 一次情報の件数
- 5件(本文末の参考資料に記載)
金融庁は、外国為替証拠金取引について相場変動、金利変動、流動性、信用、システムなど複数のリスクを挙げています。 ロスカットは損失の拡大を抑える仕組みですが、急変時に証拠金を上回る損失が生じる可能性まで消すものではありません。 「ロスカットがあるから安全」と考えず、取引数量と損切りを先に決めてください。 出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」
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