ユーロ/米ドル(EUR/USD)とは?損益が米ドルで出る仕組みを円換算まで確かめる
ユーロ/米ドルは1ユーロが何米ドルかを示す通貨ペアです。円が表記に出ないため損益は米ドルで確定します。欧州中央銀行の参照レート1.1622米ドル、DMM FXの0.3pips、両中央銀行の会合日程を確認日つきで整理しました。
ユーロ/米ドル(EUR/USD)は、ユーロを米ドルで売買する通貨ペアです。画面に出ている数字は「1ユーロと交換できる米ドルの数」で、欧州中央銀行(ECB)が公表した2026年9月7日の参照レートは1.1622米ドルでした。
円絡みのペアと違うのは、表記のどこにも円が出てこないことです。ここが実務でいちばん効きます。値が動いて損益が出ても、それはまず米ドルで確定します。円建ての口座で取引するなら、そのあとに円へ直す手順がもう1段入ります。1回の取引でいくら増えたのか減ったのかを日本円で把握するには、この2段階を分けて数える必要があります。
この記事では、価格の読み方、損益が米ドルで出る仕組みと円換算、コストの単位、値段を動かす2つの中央銀行の日程、必要になる資金という順で、2026年9月8日に公式ページで確認できた数値だけを並べます。確認できなかった項目は埋めずに終わりの節へ残しました。米ドルを片側に含むペア全体の呼び方はドルストレートとはにまとめてあります。
表示されているのは「1ユーロが何米ドルか」です
通貨ペアは、左が基軸通貨、右が決済通貨です。EUR/USDなら左がユーロ、右が米ドルなので、1.1622という表示は1ユーロが1.1622米ドルという意味になります。左右の役割そのものは基軸通貨と決済通貨を参照してください。
次の表は、ECBが同じ日に公表している参照レートを、円絡みのペアと並べたものです。ECBの参照レートはユーロを基準に公表されるため、米ドル/円だけは公表値ではなく、2つの公表値から割り算で求めた参考値です。
| 通貨ペア | 表示の意味 | 2026年9月7日の値 | 数字が上がったとき |
|---|---|---|---|
| EUR/USD(ユーロ/米ドル) | 1ユーロが何米ドルか | 1.1622米ドル(公表値) | ユーロ高・米ドル安 |
| EUR/JPY(ユーロ/円) | 1ユーロが何円か | 179.85円(公表値) | ユーロ高・円安 |
| USD/JPY(米ドル/円) | 1米ドルが何円か | 約154.75円(編集部の計算) | 米ドル高・円安 |
米ドル/円の約154.75円は、179.85 ÷ 1.1622 で求めています。ECBの参照レートは営業日ごとに中央ヨーロッパ時間の16時ごろ更新される参考用の値で、FX会社が提示する取引レートとは一致しません。この記事では、水準の桁を確かめるためだけに使います。
同じ日のこの3つを並べると、EUR/USDが上がることは「ユーロが米ドルに対して高い」という意味であって、円に対して高いかどうかは別の話だと分かります。ドルストレートの上昇を「ドル高」と読み替えられないのはこのためです。米ドルが右側にあるEUR/USDでは、数字の上昇は米ドル安の側を指します。
円が表記にないため、損益はいったん米ドルで確定します
ここがEUR/USDでつまずきやすい点です。1,000通貨(1,000ユーロ)を1.1622で買い、1.1652で決済したとします。値幅は0.0030米ドル、pipsで数えれば30pipsです。損益は0.0030×1,000通貨で3.00米ドルになり、この時点では円の金額が出てきません。
工程を分けたのには理由があります。当たり外れが決まるのは②までで、③の換算は別の要因で動くからです。同じ3.00米ドルでも、換算に使う米ドル/円の水準が150円なら450円、155円なら約465円になります。EUR/USDの読みが当たっていても、円で見た金額は米ドル/円の動き方によって変わるということです。
1,000通貨なら1pipsは0.1米ドルです。この「自分の数量での1pipsの価値」を先に出しておくと、注文画面で値幅を見た瞬間に金額へ直せます。求め方は1pipsはいくらになるか、数量の単位そのものは1,000通貨とはどういう単位かにまとめました。
円換算の扱いは会社ごとに取引ルールで定められています。決済した時点で円へ振り替える会社もあれば、米ドルのまま持てる会社もあります。この記事の計算は仕組みを確かめるための試算で、特定の会社の処理を示すものではありません。自分の口座がどちらなのかは、契約締結前交付書面か取引ルールで確認してください。
コストの単位も、銭ではなくpipsで示されます
取引のたびに負担するのがスプレッドです。円絡みのペアが銭で示されるのに対し、EUR/USDのようなペアはpipsで示されます。単位が違うため、数字の大小をそのまま比べられません。次の表は、DMM FXが公表している値を公式ページの表記のまま転記したものです。順位付けはしていません。
| 通貨ペア | コアタイム(午前9時〜翌午前5時)の原則固定 | 午前5時〜午前9時 |
|---|---|---|
| USD/JPY(米ドル/円) | 0.2銭 | 0.2〜3.9銭 |
| EUR/USD(ユーロ/米ドル) | 0.3pips | 0.3〜4.9pips |
| AUD/USD(豪ドル/米ドル) | 0.4pips | 0.4〜5.9pips |
| GBP/USD(ポンド/米ドル) | 1.0pips | 1.0〜9.9pips |
| NZD/USD(NZドル/米ドル) | 1.6pips | 1.6〜9.9pips |
| USD/CHF(米ドル/スイスフラン) | 1.6pips | 1.6〜13.9pips |
| USD/CAD(米ドル/カナダドル) | 1.8pips | 1.8〜9.9pips |
「0.2」と「0.3」を並べると近く見えますが、単位が違います。1銭は0.01円、1pipsは0.0001米ドルです。同じ1,000通貨の往復で負担する金額に直すと、次のように開きます。
米ドル/円の2円に対し、EUR/USDは約4.6円です。同じ会社の中でも2倍以上の差があります。単位が分かれる理由はpipsと銭の関係で扱いました。
見落としやすいのが右の列です。原則固定とされるのは午前9時から翌午前5時までで、そこを外れる午前5時〜午前9時のEUR/USDは0.3〜4.9pipsと公表されています。上限まで開けば1,000通貨の往復で約75.8円にあたる幅です。同じページには「上記スプレッドは固定されたスプレッドではありません」という注記があり、突発的な出来事や流動性の低下時、経済指標の発表前後には広がると書かれています。表の値は約束された固定値ではありません。仕組みはスプレッドが広がるのはなぜかにあります。
EUR/USDが活発に動くのは、ロンドン市場とニューヨーク市場が開いている時間帯です。日本時間の夕方から未明にあたり、原則固定の時間帯の内側に入ります。会社をまたいで同じペアを横に並べる場合は通貨ペア別のスプレッド比較を、円絡みのペアとの比べ方は円絡み通貨ペアの一覧を参照してください。
値段を動かすのは、2つの中央銀行の決定です
EUR/USDは、左右のどちらにも主要通貨が入っています。ユーロ側の材料でも米ドル側の材料でも動くということです。両方の日程を1本の線に並べると、月に2回前後は決定の日が来ることが分かります。
ユーロ側の政策金利は、ECBの3つの金利で示されます。2026年9月8日時点では、預金ファシリティ金利が2.25%、主要リファイナンス・オペレーションの金利が2.40%、限界貸付ファシリティ金利が2.65%で、いずれも2026年6月17日から適用されています。ECBは2024年3月に、預金ファシリティ金利を通じて政策スタンスを運営すると決めており、注目されるのはこの2.25%です。
米ドル側は、連邦公開市場委員会(FOMC)が決めるFF金利の誘導目標です。連邦準備制度理事会が公表している一覧では、直近の変更は2025年12月11日の0.25ポイント引き下げで、誘導目標は3.50〜3.75%になっています。2026年9月8日に確認した時点で、2026年に入ってからの変更は記載されていません。
残っている予定日は、ECBが9月9〜10日(ベルリンで開催、10日に記者会見)、10月28〜29日、12月16〜17日。FOMCが9月15〜16日、10月27〜28日、12月8〜9日です。FOMCの9月と12月の会合は、経済見通しの公表を伴うと記載されています。当サイトは、どちらの会合で何が決まるかを予想しません。使い方は日付を控えておくことで、その時刻に自分の建玉をどうしておくかを先に決められます。
取引の規模から見ると、両方が上位の通貨です
EUR/USDが「主要ペア」と呼ばれる根拠は、国際決済銀行(BIS)が3年ごとに行う調査から確かめられます。2025年4月の店頭外国為替市場の取引高は、1営業日平均で9.6兆米ドルでした。2022年4月の7.5兆米ドルから28%の増加です。
| 項目 | 2022年4月 | 2025年4月 |
|---|---|---|
| 店頭外国為替市場の取引高(1営業日平均) | 7.5兆米ドル | 9.6兆米ドル |
| 米ドルが片側に入る割合 | 88.4% | 89.2% |
| ユーロが片側に入る割合 | 30.6% | 28.9% |
| 円が片側に入る割合 | - | 16.8% |
円の2022年の値は、今回参照したページに「ほぼ変わらず」と書かれているだけで、数値の記載を確認できませんでした。表では「-」にしています。割合を足すと100%を超えるのは、1件の取引に2つの通貨が関わり、両側を数える集計方法だからです。
このページには、取引高が上位10位までの通貨ペアはすべて米ドルを含むとも書かれています。ユーロと米ドルはそれぞれ2位と1位の通貨で、その組み合わせがEUR/USDです。ただしEUR/USD単独の割合は、今回参照したページでは確認できませんでした。「世界で最も取引されている」と書かれた数値を見かけても、出所と時点を確かめないまま引き写さないでください。
規模の大きさは、注文が通りやすい状態が続きやすいことを示す材料になりますが、値動きが小さいことや、損をしにくいことを意味しません。
取引できる数量と、必要になる資金を確かめる
EUR/USDは国内のFX会社で広く扱われています。ここでは、当サイトが引用キャプチャを保存しているDMM FXの取引概要で、数量と証拠金の記載を確認します。
同社の通貨ペアは通常23本、ミニ4本、ラージ4本で、ユーロ/米ドルは通常通貨ペアに含まれます。取引単位は、通常通貨ペアが10,000通貨単位、ミニ通貨ペアが1,000通貨単位、ラージ通貨ペアが10,000通貨単位です。つまりこの会社でEUR/USDを注文する場合、入り口は10,000ユーロからということになります。
必要な資金の桁を確かめます。ECBの参照レートで1ユーロ=179.85円だった日に10,000ユーロを建てると、取引金額は1,798,500円です。同社が記載している「総約定代金の約4%」を当てはめると約71,940円になります。これは仕組みを確かめるための試算で、実際の取引条件ではありません。会社が提示するレートは中央銀行の参照レートと一致せず、証拠金の判定にも各社の基準が使われます。求め方そのものは必要証拠金の求め方にまとめました。
翌日へ持ち越せばスワップポイントの受け払いも発生します。ここで気を付けたいのは、ECBとFOMCの金利差が、そのまま受け取れる金額になるわけではないことです。付与額を決めているのは中央銀行ではなく取引する会社で、値は日ごとに更新されます。この記事に金額を書いていないのは、書き写すと古い数字が残るからです。買いと売りの両方を、取引する会社の公表ページで確認してください。
注文の前に、自分の口座で確かめる6項目
ここまでの内容を、画面を開いたときの手順に置き換えます。上から順に確認し、答えが出ない項目が残ったら、その日は見送るという判断も選べます。
- 自分が注文する数量で、1pipsが何米ドルになるかを先に計算する(1,000通貨なら0.1米ドル、10,000通貨なら1米ドル)
- 米ドルで出た損益を円へ直す換算の扱いを、契約締結前交付書面か取引ルールで確認する
- その会社のEUR/USDの最小取引数量を確認する。10,000通貨からの会社では、1,000通貨の試し打ちができません
- コアタイムの原則固定スプレッドと、午前5時〜午前9時の欄の両方を見る。自分が注文する時刻がどちらに入るかを確かめる
- 週内にECBの金融政策理事会(次は2026年9月9〜10日)とFOMC(次は9月15〜16日)が入っていないかを確認する
- 値が動いたときに、ユーロ側と米ドル側のどちらが動いたのかを確かめる。EUR/JPYやUSD/JPYを併せて見ると切り分けられます
最後の項目は、EUR/USDだけを見ていると分かりません。円建てで資産を管理している場合、EUR/USDが上がっても米ドル/円が下がっていれば、円で見た増え方は小さくなります。画面の1本の価格と、自分の資産の増減は別のものです。
確認できなかった項目と、次に見直す日
今回確認できなかったことを残しておきます。BISの2025年調査のページでは、EUR/USD単独の取引シェアと、円が片側に入る2022年の割合を確認できませんでした。DMM FXのミニ通貨ペア4本の銘柄内訳も、今回参照したページでは確認していないため、EUR/USDを1,000通貨で発注できるかどうかは記載していません。他社のEUR/USDのスプレッドは、今回は横並びで取得していません。FF金利の誘導目標については、連邦準備制度理事会の公表一覧に2026年の変更の記載がないことを確認した範囲での記述です。スワップポイントの金額は、日ごとに変わるため本文に載せていません。いずれも埋めずに空欄として扱っています。
この記事の数値は2026年9月8日に確認しました。参照レートは営業日ごと、政策金利は会合ごと、各社のスプレッドと取引条件は会社の判断で更新されます。当サイトは30日を目安に見直しており、次回の確認予定は2026年10月8日です。日付が離れている数字を見つけたら、記事の値より公式ページの表示を優先してください。この記事に広告リンクは置いていません。
出典と確認日の一覧
- 欧州中央銀行「Euro foreign exchange reference rates」2026年9月7日の1ユーロ=1.1622米ドル、179.85円、更新は営業日の中央ヨーロッパ時間16時ごろ(2026年9月8日確認)
- 欧州中央銀行「Key ECB interest rates」預金ファシリティ2.25%、主要リファイナンス・オペ2.40%、限界貸付ファシリティ2.65%、2026年6月17日から適用(2026年9月8日確認)
- 欧州中央銀行「Governing Council meeting calendar」2026年9月9〜10日(ベルリン)、10月28〜29日、12月16〜17日の金融政策理事会(2026年9月8日確認)
- 連邦準備制度理事会「FOMC Meeting calendars and information」2026年9月15〜16日、10月27〜28日、12月8〜9日の会合と経済見通しの公表回(2026年9月8日確認)
- 連邦準備制度理事会「Open Market Operations」FF金利の誘導目標3.50〜3.75%、2025年12月11日の決定(2026年9月8日確認)
- 国際決済銀行「Triennial Central Bank Survey 2025」取引高9.6兆米ドル、米ドル89.2%、ユーロ28.9%、円16.8%、上位10ペアの構成(2026年9月8日確認)
- DMM FX「スプレッド」米ドルを含む6ペアと米ドル/円の値、固定ではない旨の注記(2026年9月8日確認)
- DMM FX「取引概要」通貨ペア数、取引単位、必要証拠金の割合(2026年9月8日確認)
この記事の更新・確認情報
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金融庁は、外国為替証拠金取引について相場変動、金利変動、流動性、信用、システムなど複数のリスクを挙げています。 ロスカットは損失の拡大を抑える仕組みですが、急変時に証拠金を上回る損失が生じる可能性まで消すものではありません。 「ロスカットがあるから安全」と考えず、取引数量と損切りを先に決めてください。 出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」
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