FXの決済損益の計算式は?口座の表示と自分の計算がずれる6つの原因

決済損益は(決済レート-建玉レート)×取引数量×取引単位±累計スワップで計算されます。自分の暗算と口座の表示がずれる原因を、各社が公表する計算式と端数処理の記載から、数量の単位・約定価格・累計スワップ・円転レート・端数・決済通貨の6点に分けて確かめます。

本記事は情報提供を目的としたもので、投資判断を勧誘するものではありません。FXには元本割れのリスクがあります。

決済したあとの損益は、値幅と数量を掛けただけでは口座の表示と一致しません。GMOクリック証券はFXネオ取引の損益額を「(決済レート-建玉レート)× 取引数量 × 取引単位(10,000)± 累計スワップ」と公表しています(2026年9月30日確認)。自分の暗算に入っていないのは、たいてい後ろ半分です。

ずれる場所は6つに絞れます。数量をLot数のまま掛けている、チャートの価格を使っている、累計スワップを足していない、外貨同士の通貨ペアで円転レートを掛けていない、会社の端数処理を当てていない、そもそも決済損益が日本円で発生していない。どれも会社が公表している記載を読めば確かめられます。

この記事では、まず会社が公表している式そのものを確認し、そのあと6つの原因を1つずつ数字で追います。値幅から損益を出す考え方そのものはFXの値幅とは?何円動くと利益・損失はいくらになる?で扱っているため、ここでは会社の表示を電卓で再現することに絞ります。

会社が公表している式を先に読む

損益計算の式は、各社が自社のページで公表しています。GMOクリック証券の記載を、通貨ペアの種類と建玉の方向で並べます。

通貨ペアの種類 建玉の方向 公表されている計算式
外貨と日本円のペア 買建 (決済レート-建玉レート)× 取引数量 × 取引単位(10,000)± 累計スワップ = 損益額
外貨と日本円のペア 売建 (建玉レート-決済レート)× 取引数量 × 取引単位(10,000)± 累計スワップ = 損益額
外貨と外貨のペア 買建 (決済レート-建玉レート)× 数量 × 取引単位(10,000)× 円転レート ± 累計スワップ = 損益額
外貨と外貨のペア 売建 (建玉レート-決済レート)× 数量 × 取引単位(10,000)× 円転レート ± 累計スワップ = 損益額

いずれも同社のよくあるご質問の記載で、確認日は2026年9月30日です。同社は、ハンガリーフォリント/円、南アフリカランド/円、メキシコペソ/円については取引単位が100,000になると注記しています。

この式は4つの部品に分かれています。値幅、数量、円転レート、累計スワップです。そして式には現れませんが、最後に会社ごとの端数処理が当たります。

決済損益の計算式を6つの要素に分解した図。①値幅は決済レートから建玉レートを引いた差でどちらも約定価格、約定履歴で確認する。②取引数量はLot数か通貨数かが会社ごとに違い取引ルールで確認する。③取引単位は1取引単位が何通貨かを取引ルールで確認する。④円転レートは外貨同士の通貨ペアだけに掛かり会社の式で確認する。⑤累計スワップは保有中に受け払いした合計を加減しスワップ欄で確認する。①×②×③×④±⑤の順に並べ、その下で⑥会社の端数処理を当て、最後に口座に表示される決済損益になることを示している
式に現れる4つの部品と、式の外にある端数処理を1枚に並べています。青字は、その要素を自分の口座で確かめる場所です。出典はGMOクリック証券の損益計算のよくあるご質問と「FXネオ 取引ルール」で、いずれも2026年9月30日に確認しました。

以下では、この図の番号の順に見ていきます。

原因1:Lot数のまま掛けると桁が合わない

式の「取引数量」に何を入れるかは、会社の表記で決まります。同じ「1」と入力しても、それがLot数なのか通貨数なのかで結果は1万倍変わります。

各社が公表している最小取引単位の記載を並べます。母数は、当サイトが2026年9月30日に公式ページで記載を確認できた4社です。

会社・サービス 公表されている最小取引単位の記載
GMOクリック証券(FXネオ) 最小で0.1取引単位(1,000通貨単位、但し、ハンガリーフォリント/円と南アフリカランド/円とメキシコペソ/円は10,000通貨単位)
みんなのFX 0.1Lot単位(1Lotは10,000通貨、0.1Lotは1,000通貨)
外為どっとコム(外貨ネクストネオ) 最小取引単位:1Lot
SBI FXトレード 1注文あたりの最小数量1通貨単位(例 1ドル、1ユーロ等)

並び順は評価ではなく、本文で触れる順です。読み比べると、4社が4通りの言い方をしていることが分かります。GMOクリック証券は「取引単位」、みんなのFXは「Lot」、SBI FXトレードは「通貨単位」で数えています。外為どっとコムの取引概要は「最小取引単位:1Lot」とだけ記載しており、1Lotが何通貨かはこのページには書かれていません。同社は必要保証金の計算式として、ロシアルーブル/円とハンガリーフォリント/円は「基準レート×10,000(通貨)×保証金率」、その他の通貨ペアは「基準レート×1,000(通貨)×保証金率」と記載しています(2026年9月30日確認)。

GMOクリック証券のFXネオ取引ルールのページ。取引条件が項目ごとに表で並んでいる
取引ルールページの引用キャプチャです。取引単位も端数処理も、相場の慣習ではなく会社が公表するルールとして決まっています。このページには最小取引単位、取引手数料、スワップポイントの端数の扱い、値洗いの時点が項目ごとに並んでいます。画像内のサービス名・ロゴ・商標は各権利者に帰属します。出典:GMOクリック証券「FXネオ 取引ルール」。記載の確認日:2026年9月30日。

数量の取り違えが金額にどう出るかを見ます。米ドル/円を1万通貨、157.12円で買い、158.17円で決済した場合を考えます。レートはFrankfurterが公開する2025年1月2日と1月9日の日次参照レート(取得日2026年8月15日)で、ここから先は仕組みを確かめるための仮定の計算です。値幅は158.17円-157.12円=1.05円です。

式へ入れた数量 計算 結果
1(Lot数をそのまま入れた) 1.05円 × 1 1.05円
1 × 取引単位10,000 1.05円 × 1 × 10,000 10,500円
10,000(通貨数で入れた) 1.05円 × 10,000 10,500円
1,000(0.1取引単位で持っていた) 1.05円 × 1,000 1,050円

2行目と3行目は同じ結果になります。式の書き方が違うだけで、最終的に掛ける通貨数が同じだからです。つまり、まず通貨数へそろえてしまえば、会社の表記に振り回されずに検算できます。Lotという単位そのものの考え方はFXのロットとは?1Lotの意味と取引数量を解説、1Lotが何通貨かが会社ごとに違う事情はFXの1ロットは何通貨?FX会社によって違う理由で扱っています。

原因2:レートは約定価格で、チャートの価格ではない

式の先頭にある「決済レート」と「建玉レート」は、自分の注文が成立した価格です。GMOクリック証券のクロスカレンシー取引の説明では、この2つを「決済約定金額」「建玉約定価格」と呼んでいます(2026年9月30日確認)。

ここで2つの差が生まれます。1つは、同じ時点でも2種類のレートが提示されていることです。買いで入るときはAsk、その建玉を売りで決済するときはBidが使われます。この2つの差がスプレッドで、どちらもFX会社側から見た価格である点はFXのBidとAskとは?売値と買値の違いで扱っています。

もう1つは、注文を出した瞬間の価格と成立した価格の差です。チャートを見たときの数字で検算すると、この2つの差の分だけ必ずずれます。検算に使うのは、約定履歴や取引報告書に残っている価格です。1pipsが金額でいくらになるかはFXの1pipsはいくら?ドル円などで具体的に計算を参照してください。

原因3:累計スワップが損益額に合算されている

GMOクリック証券の式には「± 累計スワップ」が入っています。つまり同社の損益額は、値幅から出た金額とスワップポイントの受け払いを合わせた数字です。値幅だけで暗算すると、保有日数が長いほど差が開きます。

スワップポイントがいつ発生するかも公表されています。同社は、建玉を保持してニューヨーククローズを迎えるとスワップポイントが余力に発生すると記載しています。みんなのFXは「スワップは当該営業日終了後にポジションへ付与いたします」と記載し、金利情勢等に応じて日々変化するため受取と支払の金額が変動したり受け払いの方向が逆転する可能性があると注記しています。松井証券は、スワップポイントを「スワップ振替」機能または建玉の決済により受渡すと記載しています(いずれも2026年9月30日確認)。

会社によって、スワップを損益額へ含める式と、別立てで受渡す仕組みに分かれます。自分の口座がどちらなのかを取引ルールで確かめてから検算してください。先の1万通貨の例で、保有中の累計スワップが仮に+300円だったとすると、損益額は10,500円ではなく10,800円になります。この300円は仕組みを確かめるための仮定の数字で、実際の付与額ではありません。

スワップポイントそのものの意味はFXのスワップポイントとは?金利差調整額の仕組み、付与される日数の考え方はFXのスワップポイントはいつ付く?日数の考え方で扱っています。

原因4:外貨同士の通貨ペアには円転レートが掛かる

ユーロ/米ドルやユーロ/豪ドルのように、通貨ペアに円が入っていない場合は式が1つ増えます。GMOクリック証券のクロスカレンシー取引の式には「× 円転レート」が入り、同社は1,000通貨取引の決済損益を「(決済約定金額-建玉約定価格)× 建玉数量 × 円転レート」と記載しています(2026年9月30日確認)。

これは、損益がいったん決済通貨で出てから日本円へ換算されるためです。ユーロ/豪ドルの損益は豪ドルで出るので、円にするには豪ドル/円のレートが必要になります。ユーロ/豪ドルのレートだけでは、円の金額は決まりません。どちらのレートを掛けるか割るかという判断は為替換算のやり方は?掛けるか割るかの決め方と、使うレートの選び方で扱っています。

円が入っている通貨ペアと入っていない通貨ペアの区別はクロス円とは?ドル円との違いと仕組みで整理しています。検算のときは、対円の通貨ペアに円転レートを掛けないことにも注意してください。掛けると150倍前後の値になります。

原因5:最後に会社の端数処理が当たる

ここまでの掛け算が合っていても、表示は一致しないことがあります。会社が最後に端数を処理するためです。

GMOクリック証券は、クロスカレンシー取引の決済損益について「1円未満切り捨て」と記載し、実際の計算例を示しています。決済約定金額1.45955、建玉約定価格1.45954、円転レート85.739、建玉数量1,000の場合、計算結果は0.85739で、小数部が切り捨てられるため決済損益は0円になります。値幅が0.00001あっても、表示は0円です。

会社が公表している端数処理の記載を並べます。

会社・サービス 対象 公表されている記載
GMOクリック証券(FXネオ) クロスカレンシー取引の決済損益 1円未満切り捨て
GMOクリック証券(FXネオ) スワップポイントの授受金額 1円未満の端数につきましては、正の場合1円未満は切り捨て、負の場合1円未満は切り上げます
松井証券(MATSUI FX) 余力や損益等(小数点表示を「する」にしている場合) プラスの場合・・・小数点第4位を切り捨て、第3位まで計算。マイナスの場合・・・小数点第4位を切り上げ、第3位まで計算
松井証券(MATSUI FX) 余力や損益等(小数点表示を「しない」にしている場合) 原則、小数点第1位を切り捨て、整数で計算

いずれも各社のページの記載で、確認日は2026年9月30日です。松井証券は、注文証拠金は小数点第4位以下を切り上げて第3位まで、振替可能額は小数点第1位を切り捨てて整数、追加証拠金額は小数点第1位を切り上げて整数と、項目ごとに丸める向きを分けて公表しています。

端数処理の前の計算結果0.85739円に各社が公表する記載を当てはめた比較図。GMOクリック証券のFXネオでクロスカレンシーの決済損益は1円未満切り捨てで0円、松井証券で小数点表示を「する」にしていてプラスの場合は小数点第4位を切り捨て第3位まで計算で0.857円、松井証券で小数点表示を「しない」場合は原則として小数点第1位を切り捨て整数で計算するため0円になることを示している
同じ0.85739円が、当てはめる記載によって0円と0.857円に分かれます。0.85739円はGMOクリック証券が示す計算例の値で、松井証券の記載をこの数値へ当てはめたのは当サイトです。同社の計算結果ではありません。いずれの記載も2026年9月30日に確認しました。

マイナスのときにどちら向きへ丸めるかは、会社ごとに分かれます。松井証券は損益等についてプラスとマイナスを分けて記載していますが、GMOクリック証券のクロスカレンシー取引の決済損益については、正の値の計算例だけが示されており、負の値の扱いの明記を当サイトでは確認できませんでした。1回の取引では数円の話ですが、回数が多いほど積み上がります。

原因6:決済損益が日本円で発生しない口座もある

最後は、掛け算より前の前提です。決済損益が日本円で発生するとは限りません。

マネックス証券はFX PLUSについて、「出金可能額」が「日本円の残高」+「米ドルとユーロの残高をリアルタイムのレートで円換算した金額」で計算されると記載しています。そして米ドル残高は「EUR/USD」「GBP/USD」「AUD/USD」の建玉の決済やコンバージョン(両替取引)で発生すると説明しています。証券総合取引口座へは日本円のみ振替が可能なため、円換算された米ドル残高は振替可能額に含まれず、出金可能額と振替可能額に違いが生じるとしています(2026年9月30日確認)。

つまり、これらの通貨ペアを決済した時点で手元に残るのは米ドルで、円での金額はそのあとのレートで動きます。決済損益そのものは変わっていないのに、円換算後の数字が翌日には違う、という状況が起こります。検算が合わないときは、口座の「通貨別残高」の画面で、損益がどの通貨で発生しているかを先に確かめてください。

なお、取引手数料は今回確認した5社ではいずれも無料と記載されていました。GMOクリック証券は「0円」、松井証券は「取引手数料は無料です」、みんなのFXは「無料」、SBI FXトレードは「取引手数料無料」、外為どっとコムはオンライン取引を「0円」と記載しています(いずれも2026年9月30日確認)。手数料はずれの原因になりにくい項目です。

電卓で再現する手順と、合わないときの順番

ここまでの内容を作業に落とします。確かめる順番は、影響の大きいものからです。

口座の決済損益と自分の計算が合わないときに上から順に確かめる6段の判断フロー。1は数量を通貨数へそろえたかを取引ルールの取引単位で、2は約定価格を使ったかを約定履歴や取引報告書で、3は保有中の累計スワップを加減したかを建玉ごとのスワップ欄で、4は外貨同士の通貨ペアなら円転レートを掛けたかを会社が公表する計算式で、5は会社の端数処理を最後に当てたかを取引ルールとよくあるご質問で、6は決済損益が日本円で発生する口座かを通貨別残高の画面で確認すると示している
1から順に潰すと、ずれの原因を1か所に絞り込めます。1で解決するなら単位の取り違え、6まで残るなら決済される通貨そのものの問題です。出典は図内に記載した3社の公表記載で、いずれも2026年9月30日に確認しました。

先の米ドル/円の例で、実際に並べてみます。1万通貨を157.12円で買い、158.17円で決済し、保有中の累計スワップが仮に+300円だった場合です。値幅は1.05円、通貨数は10,000、対円の通貨ペアなので円転レートは掛けません。1.05円×10,000=10,500円に300円を足して10,800円、1円未満の端数は出ないのでそのままです。この並びのどこかで自分の数字と会社の表示が分かれたら、その要素が原因です。

自分の口座で書き留めておくのは3つです。1つめは取引ルールの「取引単位」の欄に書かれた通貨数、2つめは損益額にスワップを含める式かどうか、3つめは端数処理の記載と丸める向きです。この3つが手元にあれば、決済のたびに電卓で追いかけられます。必要証拠金の側で同じように会社差が出る仕組みは必要証拠金の額はどう決まる?証拠金率・算出レート・判定時刻の3点で扱っています。

この記事の更新・確認情報

情報の基準日
編集部による確認日
情報の変動性
中(サービス・制度の情報)
次回確認予定
一次情報の件数
10件(本文末の参考資料に記載)

金融庁は、外国為替証拠金取引について相場変動、金利変動、流動性、信用、システムなど複数のリスクを挙げています。 ロスカットは損失の拡大を抑える仕組みですが、急変時に証拠金を上回る損失が生じる可能性まで消すものではありません。 「ロスカットがあるから安全」と考えず、取引数量と損切りを先に決めてください。 出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」

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