仲値とは?午前10時ごろ決まる公示相場と、FXのレートとの違い

仲値は銀行が毎営業日の午前10時ごろに決める基準レートで、TTS・TTBは仲値に手数料を足し引きした値です。適用される時間帯、大きく動いた日の扱い、FXのレートとの違いを銀行と日本銀行の記載で確かめます。

本記事は情報提供を目的としたもので、投資判断を勧誘するものではありません。FXには元本割れのリスクがあります。

仲値(なかね)は、銀行が毎営業日に1回決める、顧客向けレートの基準になる相場です。大和証券の用語解説は、対顧客相場の基準となる為替相場を仲値と呼ぶとしたうえで、「仲値は、銀行間の直物相場をもとにして、午前10時ごろに決められ、各金融機関は、原則として1日に1回対顧客相場を公表しています」と説明しています。三井住友信託銀行の外貨預金の用語集も、「通常、銀行は午前10時頃、通貨ごとに『公示仲値』を公表する」と記載しています。

つまり仲値は、その日のある時点の市場水準を写し取った値です。ニュースで見たレートや、FXの画面で秒単位に動いているレートで計算しても、銀行の明細に出ている金額とは一致しません。掛け算と割り算の向きが合っていても、使ったレートの時点が違えば答えは変わります。

この記事では、仲値が決まるまでに関わる2つの市場、TTS・TTBとの関係、注文する時間帯で適用される相場が変わること、相場が大きく動いた日の扱いを、銀行と日本銀行の記載で確かめます。換算そのものの向き(掛けるか割るか)は為替換算のやり方は?掛けるか割るかの決め方と、使うレートの選び方で扱っています。

仲値が決まるまでに、2つの市場が関わります

銀行間で取引されている相場と、個人や企業に提示される相場は別のものです。大和証券の用語解説は、対顧客相場を「銀行などの金融機関が外国為替市場で一般企業や個人などの顧客と取引を行う際の為替相場のこと」と定義しています。その基準になるのが仲値で、仲値のもとになるのが銀行間の直物相場です。

銀行間の直物相場が動くインターバンク市場、午前10時ごろに各金融機関が通貨ごとに決める段階、原則1日1回公表される公示仲値、仲値に為替手数料を足し引きしたTTSとTTBの4段階を矢印でつないだ流れ図。下部に、日本銀行「外国為替市況」の公表が毎営業日の17時50分ごろで、掲載はインターバンク市場のレートであり窓口の対顧客相場ではないことを添えている
左の2つは個人が直接は触れない段階で、右の2つが明細に出てくる段階です。段階ごとの記載は大和証券「対顧客相場」、三井住友信託銀行「外貨預金 用語集」、日本銀行「外国為替市況の解説」によります(2026年11月4日確認)。特定の日のレート水準を示した図ではありません。

銀行間の相場がどう公表されているかも見ておきます。日本銀行の「外国為替市況の解説」は、「掲載している数字は、インターバンク市場におけるレートに基づいてオファー(売り値)とビッド(買い値)を公表しています」と記載しています。掲載項目として挙げられているのは、その日の出来値の高値と安値であるレンジ、出来高の面でもっとも代表的な直物相場である中心相場、ブローカー経由の出来高です。公表は毎営業日の17時50分ごろ、作成は金融市場局です。

ここで時点が2つ出てきました。仲値は午前10時ごろの水準を参考に決まり、日本銀行が市況として公表するのは17時50分ごろです。同じ日の同じ通貨について話していても、どちらを見ているかで数字は違います。しかも日本銀行が示しているのはインターバンク市場のレートで、窓口で個人に適用される値ではありません。

外為どっとコムの用語集は、仲値を「銀行の窓口のレートの基準になる相場のことです。銀行の窓口では午前10時ごろのインターバンク市場の水準を参考に対顧客公示レートを決め、その後よほど大きな為替変動がない限りは、この『仲値』がその日一日のあいだ適用される基準為替レートとなるわけです」と説明しています。午前10時より後に市場のレートが動いても、公示相場の側は原則として動きません。この「原則として」の中身は後の節で扱います。

TTS・TTBは、仲値に為替手数料を足し引きした値です

明細に出てくるのは、仲値そのものではなくTTSかTTBです。三井住友信託銀行の用語集は、TTSを「銀行がお客さまに対して外貨を『売る』直物電信外国為替相場。お客さまの場合、外貨預金に預け入れる際に適用される」とし、TTBはその逆だとしています。3つの関係については、「TTM(仲値)は、TTSとTTBの中間値を指す」「当社の店頭の場合、公示仲値に為替手数料を加えた値をTTS、為替手数料を差し引いた値がTTBになる」と書かれています。

式にすると2行です。

  • TTS=公示仲値+為替手数料(円を外貨にするときに適用)
  • TTB=公示仲値-為替手数料(外貨を円にするときに適用)

同行が公表している片道の為替手数料は、通貨と経路で分かれています。

通貨 窓口 三井住友信託ダイレクト
米ドル 50銭 20銭
ユーロ 75銭 20銭
豪ドル 1円 40銭
NZドル 1円 40銭
英ポンド 1円 40銭

同行のページには「外国為替取引(通貨の交換)に関し、お預け入れ・払い戻しの際のそれぞれの適用外国為替相場に含まれる為替手数料は次のとおりです」とあり、金額は1通貨単位あたりの片道です。表の値は2026年11月4日に確認したもので、ページには2014年5月7日現在と記載されています。「三井住友信託ダイレクト」と「インターネットバンキングでのお取引」は同じ区分として並んでおり、別の金額は確認できませんでした。

横軸の中央に公示仲値を置き、左へ仲値から50銭と20銭離れた位置にTTB、右へ20銭と50銭離れた位置にTTSを並べた目盛りの図。窓口が片道50銭、三井住友信託ダイレクトが片道20銭で、仲値を挟んで同じ幅だけ離れることを帯で示している。通貨ごとの片道の手数料として、ユーロは窓口75銭とダイレクト20銭、豪ドル・NZドル・英ポンドは窓口1円とダイレクト40銭を注記している
米ドルの手数料を目盛りに置き換えると、同じ仲値から経路の違いだけで4本の値が出ることが分かります。間隔は手数料の大きさで、レートの水準ではありません。金額は三井住友信託銀行「外貨預金 為替手数料」の記載(ページ上の表記は2014年5月7日現在。2026年11月4日に確認)によります。

読み取れることが2つあります。第1に、手数料は通貨ごとに違います。窓口では米ドルが50銭、ユーロが75銭、豪ドル・NZドル・英ポンドが1円です。第2に、同じ通貨でも申し込む経路で違います。米ドルは窓口が50銭、三井住友信託ダイレクトが20銭です。仲値が同じでも、適用されるTTSとTTBは経路で変わります。

預け入れと引き出しを1往復すると、手数料は片道の2倍かかります。往復でいくら残るかの試算は、別の銀行の公表値を使って為替換算のやり方で扱っています。ここで押さえておきたいのは、仲値は手数料を含まない基準の値だということです。仲値で計算した金額と実際の金額の差は、相場が動いたからではなく、手数料が入っているからという場合があります。

同じ日でも、注文する時間帯で適用される相場が変わります

公示相場が1日1回だとしても、顧客の注文がいつでもその相場で成立するわけではありません。みずほ銀行は、インターネットバンキングでの外貨預金取引に適用される相場を、商品・通貨・時間帯の組み合わせで示しています。

商品 通貨 時間帯 適用される相場
外貨普通預金 米ドル・ユーロ・英ポンド・スイスフラン・オーストラリアドル・ニュージーランドドル 9時00分〜21時00分 市場連動相場
外貨定期預金 米ドル 9時00分〜10時00分 前営業日の公示相場
外貨定期預金 米ドル 10時00分〜21時00分 公示相場
外貨定期預金 ユーロ 9時00分〜11時00分 前営業日の公示相場
外貨定期預金 ユーロ 11時00分〜21時00分 公示相場
外貨定期預金 英ポンド・スイスフラン 11時00分〜15時00分 公示相場
9時から21時までを横軸にしたタイムライン。外貨普通預金は9時から21時まで市場連動相場、外貨定期預金の米ドルは9時から10時までが前営業日の公示相場で10時以降が当日の公示相場、ユーロは9時から11時までが前営業日の公示相場で11時以降が当日の公示相場、英ポンドとスイスフランは11時から15時までが当日の公示相場で、ほかの時間帯の記載は確認できなかったことを帯で示している
同じ時刻に注文しても、商品と通貨で参照される相場が変わります。米ドルの外貨定期預金は10時、ユーロは11時が境目です。帯の色は市場連動相場・前営業日の公示相場・当日の公示相場の3区分で、出典はみずほ銀行のFAQ(2026年11月4日確認)です。

同じ米ドルでも、外貨普通預金は9時から21時まで市場連動相場、外貨定期預金は10時を境に前営業日の公示相場から当日の公示相場へ切り替わります。9時30分に外貨定期預金を申し込むと、使われるのは前営業日の公示相場です。ユーロはこの境目が11時で、英ポンドとスイスフランは11時00分から15時00分までの記載だけで、ほかの時間帯の扱いは確認できませんでした。いずれも取引できるのは月曜から金曜です。

1つの銀行の中に、1日1回の相場と時々刻々と変わる相場が同居していることも押さえておきます。三菱UFJ銀行の「外国為替相場」ページには、インターネットバンキング向けのリアルタイムレート、窓口・ATM・テレホンバンキング向けの相場、公示相場のダウンロード(ExcelとCSV)、過去の公示相場が並んでいます。「銀行のレート」と一括りにできません。自分が使っている商品と経路が、どちらの系統なのかを先に確かめる必要があります。

大きく動いた日は、同じ日のうちに差し替わることがあります

ここまでの説明には、いずれも条件が付いています。外為どっとコムは「よほど大きな為替変動がない限りは」と書き、みずほ銀行は適用される相場の案内に「相場が大きく変動した場合は、異なる為替レートが適用されます。」と注記しています。公示相場は1日固定と決まっているのではなく、原則として1日固定です。

掲示されているレートそのものにも断りがあります。三菱UFJ銀行の「外国為替相場」ページは「ここに掲載されたレートは、当行がこのレートでお客さまとお取引することを確約するものではありません。」と記載し、掲載している値には時間差があり変動しうるとしています。画面に出ている数字は、約定した値ではなく目安です。

この2つを合わせると、確認の順序が決まります。朝に見た仲値で計算した金額と明細が合わないとき、計算の向きや桁を疑う前に、まずいつの時点のどの相場が適用されたのかを確かめます。時間帯で前営業日の相場になっていた、経路が違って手数料の幅が違った、その日に相場が差し替わった、という順に当たるほうが早く片が付きます。

なお、差し替えの基準になる変動幅の数値は、今回確認したどのページにも示されていませんでした。「大きく変動した場合」という表現にとどまっているため、読者の側で事前に判定できる条件ではありません。

FXのレートは、公示相場ではありません

FXの画面に出ているレートは、1日1回の公示ではありません。GMOクリック証券のFAQは、FXネオの取引時間を「月曜午前7:00~土曜午前7:00となります。※米国夏時間は、月曜午前7:00~土曜午前6:00となります。」としています。平日はほぼ通しでレートが提示され、注文のたびにその時点の値で成立します。

GMOクリック証券「FXネオ取引の取引時間」の公式FAQページ
公式FAQの引用キャプチャです。銀行の公示相場が午前10時ごろの1回で決まるのに対し、FXは月曜午前7時から土曜午前7時まで(米国夏時間は土曜午前6時まで)という取引時間が定められています。画像内のサービス名・ロゴ・商標は各権利者に帰属します。出典:GMOクリック証券「FXネオ取引の取引時間」。サイトに記録されているキャプチャ取得時の確認日:2026年8月15日。記載内容の確認日:2026年11月4日。

違いを並べると次のようになります。

項目 銀行の公示相場 FXの取引レート
決まる頻度 原則として1日1回(午前10時ごろの水準を参考) 取引時間中はほぼ連続して更新
顧客に適用される値 公示仲値に為替手数料を足し引きしたTTS・TTB 会社が提示する売値と買値
時間帯の扱い 商品・通貨ごとに適用される時間帯が決められている 取引時間内なら注文した時点の値
根拠の置き場所 各行の相場表・公示相場・手数料の案内 各社の取引ルール・契約締結前交付書面

この整理から言えるのは、FXの損益を考えるときに仲値を持ち込む場面は限られるということです。売値と買値が2本並ぶ理由はFXではなぜレートが2つ表示される?Bid・Askの仕組み、FX会社が対円以外の通貨ペアの損益を円へ直すときのレートの決まりは為替換算のやり方で扱っています。商品としての仕組みの違いはFXと外貨預金の違いは?仕組み・コスト・リスクを比較、取引時間そのものはFXの取引時間は何時から何時まで?にまとめています。レートの読み方自体に戻りたいときは為替レートとは?1ドル150円が意味することが出発点になります。

自分の取引で使われるレートを確かめる順番

ここまでの材料を、確認の手順として並べます。順番に意味があり、上から3つまでで適用される相場が決まります。

  1. 商品を確かめる(外貨普通預金か、外貨定期預金か、FXか)
  2. 経路を確かめる(窓口か、インターネットバンキングか、取引ツールか)
  3. 時間帯を確かめる(当日の公示相場になる時刻、前営業日の相場になる時間帯)
  4. 向きを確かめる(円を外貨にするならTTS、外貨を円にするならTTB)
  5. 手数料を確かめる(通貨ごと・経路ごとの片道の金額)
  6. 記録を残す(適用されたレートと、その取引日の公示相場)

6については、後から公示相場をたどれる形にしている銀行があります。三菱UFJ銀行の「外国為替相場」ページには、公示相場のダウンロードと過去の公示相場が並んでいます。明細の金額を再現したいときは、取引日の公示相場に戻るのが確実です。ニュースで見た数字や、いま画面に出ている数字で逆算すると、時点の違いだけでずれます。

確認できなかったこと

今回根拠にしたのは、銀行・信託銀行・証券会社・FX会社の公表ページと、日本銀行の統計の解説です。次の項目はいずれにも記載がありませんでした。推測で補っていません。

  • 「午前10時ごろ」の分単位の基準や、各金融機関に共通する定義(確認したページはいずれも「午前10時ごろ」「午前10時頃」という表記でした)
  • 相場が大きく変動した場合に公示相場を差し替える基準(変動幅の数値)
  • 三井住友信託銀行の為替手数料の表で、「三井住友信託ダイレクト」と「インターネットバンキングでのお取引」に別の金額が設定されているか
  • 英ポンド・スイスフランの外貨定期預金について、11時00分から15時00分以外の時間帯の扱い
  • 銀行の両替とFXのどちらが有利かを、同じ日・同じ条件で比べた数値

よくある質問

仲値は何時に決まりますか

確認したページはいずれも「午前10時ごろ」としています。大和証券の用語解説は、仲値は銀行間の直物相場をもとにして午前10時ごろに決められ、各金融機関は原則として1日に1回対顧客相場を公表しているとしています。三井住友信託銀行の用語集も、通常は午前10時頃に通貨ごとに公示仲値を公表すると記載しています。分単位の基準や各行共通の定義は確認できませんでした。決まる時刻と、その相場が適用される時間帯は別の話なので、取引の前には後者も確かめてください。

仲値とTTM、公示相場は同じものですか

三井住友信託銀行の用語集は、TTM(仲値)をTTSとTTBの中間値とし、銀行が通貨ごとに公表するものを「公示仲値」と呼んでいます。つまりTTMは仲値の略称で、公示仲値は銀行が公表した仲値です。いっぽう公示相場は、仲値だけでなくTTS・TTBを含む対顧客相場の一式を指す呼び方として使われています。みずほ銀行のFAQは適用される相場の区分として「公示相場」「前営業日の公示相場」「市場連動相場」を挙げており、同じ商品でも時間帯でどれになるかが変わります。

FXの取引でも仲値は使われますか

今回確認した資料には、FX会社が取引レートとして公示仲値を使うという記載はありませんでした。GMOクリック証券のFAQは、FXネオの取引時間を月曜午前7時から土曜午前7時まで(米国夏時間は土曜午前6時まで)としており、レートは取引時間中に更新され続けます。注文した時点の値で成立するため、1日1回の基準値という考え方とは別の仕組みです。対円以外の通貨ペアの損益を円へ直すときのレートは会社の取引ルールに定められていて、その内容は為替換算のやり方で扱っています。

午前10時より前に外貨預金を申し込むと、どのレートになりますか

商品と通貨によります。みずほ銀行のインターネットバンキングの場合、外貨定期預金の米ドルは9時00分から10時00分までが前営業日の公示相場、10時00分から21時00分までが当日の公示相場です。ユーロはこの境目が11時00分です。外貨普通預金は9時00分から21時00分まで市場連動相場で、公示相場ではありません。同じ銀行でも商品で扱いが分かれるため、申し込む画面の案内で確かめてください。なお同行は、相場が大きく変動した場合は異なる為替レートが適用されると注記しています。

参考資料

この記事の更新・確認情報

情報の基準日
編集部による確認日
情報の変動性
中(サービス・制度の情報)
次回確認予定
一次情報の件数
8件(本文末の参考資料に記載)

金融庁は、外国為替証拠金取引について相場変動、金利変動、流動性、信用、システムなど複数のリスクを挙げています。 ロスカットは損失の拡大を抑える仕組みですが、急変時に証拠金を上回る損失が生じる可能性まで消すものではありません。 「ロスカットがあるから安全」と考えず、取引数量と損切りを先に決めてください。 出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」

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