ボリンジャーバンドの±2σの見方|約95%という説明と考案者のルール
ボリンジャーバンドの±2σは、直近n本の終値の散らばりから引いた線です。±2σに約95.4%が収まるという説明と、考案者の公式サイトが統計的な前提を置かないよう求めている記載を突き合わせ、幅の3つの状態とツールごとの初期値も確かめます。
±2σに触れたこと自体が売買のサインになる、という読み方は、考案者本人が否定しています。ジョン・ボリンジャー氏の公式サイトが公開している22項目のルールの6番目には、バンドへのタッチはタッチにすぎずシグナルではなく、上のバンドへのタッチはそれ自体では売りシグナルではないという記載があります。8番目には、バンドの外側での引けはまず継続のサインであって反転のサインではないとも書かれています。ルールは英語で公開されているため、この記事での訳は当サイトによるものです。
一方、日本語の解説では、±2σの内側に約95%が収まるという数字がよく併記されます。大和証券の用語解説は「±2σの補助線内に約95%の確率で株価が収まることから、この補助線を超えると売られ過ぎ(または買われ過ぎ)といわれています」と説明しています。どちらかが間違っているという話ではありません。約95%という数字が何を前提にした割合なのかを押さえると、2つの記載が食い違って見える理由が分かります。
この記事では、まず帯の位置がどう決まるのかを各社が公表している式で確かめ、約95%という割合の出どころを突き合わせます。そのうえで、幅の変化に付けられている3つの呼び名を整理し、価格が帯の外へ出たときに確認する順番を組み立てます。最後に、期間とσの初期値がツールごとに違うことを各社のマニュアルで確かめます。中心に置かれている移動平均線そのものの性質はFXの移動平均線とは?で扱っています。
帯の位置は、中心線と散らばりの2つで決まります
構成は2つの部品だけです。楽天証券のオンラインヘルプは「ボリンジャーバンドは、『移動平均線』と『標準偏差』で構成されています」と書いています。外為どっとコムも、米国の投資家ジョン・ボリンジャーが考案した指標で、単純移動平均線を中心として、その上下に標準偏差と呼ばれるバンドを表示するものだと説明しています。
考案者の公式サイトの説明も同じ形です。n期間の移動平均に対して、標準偏差の倍数で決まる間隔の帯を上下へ描いたものだとしており、既定値は35年前から変わらず、移動平均が20期間、バンドが上下へ2標準偏差だと書かれています。20と2という数字は、考案者が定めた既定値です。相場を分析して導かれた最適値として説明されているわけではなく、同じサイトのルールの9番目は、20期間と2標準偏差という既定値は既定値にすぎないとしています。
線の出し方は足し算と引き算です。OANDA証券は、単純移動平均に標準偏差を足し引きしたものが±1σ、標準偏差を2倍して足し引きしたものが±2σ、3倍したものが±3σだと説明しています。つまり帯の広さを決めているのは標準偏差という1つの値だけで、中心線は帯の位置を決めているだけです。
では標準偏差とは何かというと、OANDA証券は「データ(終値)が平均値からどれくらい散らばっているかを表します」と説明しています。期間内の終値が平均の近くにそろっていれば小さく、ばらついていれば大きくなります。計算式を本文の文字で示していたのは外為どっとコムで、「標準偏差=√(n×期間中の価格の2乗の合計-期間中の価格の合計の2乗)÷{n×(n-1)}」という形です。
| 資料 | 中心線の指定 | 式の公表 | 示されている既定値・初期値 |
|---|---|---|---|
| Bollinger Bands(考案者の公式サイト) | n期間の移動平均 | 標準偏差の倍数で間隔を決めると記載 | 移動平均20期間・上下に2標準偏差 |
| 外為どっとコム | 単純移動平均線 | 標準偏差の式を本文に記載(割る数はn×(n-1)) | 外貨ネクストネオ リッチアプリ版のデフォルトは21 |
| OANDA証券 | 単純移動平均(SMA) | ±1σ・±2σ・±3σの足し引きを記載 | 期間の初期値の記載は確認できませんでした |
| 楽天証券 MARKET SPEED FX | 移動平均線 | 計算式の記載は確認できませんでした | 期間25、σ値は3.00・2.00・1.00の3本 |
2026年11月3日に各ページで確認した記載です。ここで目を引くのは、割る数の約束です。外為どっとコムの式は分母がn×(n-1)の形になっていて、本数そのものではなく本数から1を引いた数で割る計算と同じ値になります。本数そのもので割る計算もあり、同じ終値から出しても値がそろいません。
| 期間(本数) | 本数で割った場合を1としたときの、本数から1を引いて割った場合の倍率 |
|---|---|
| 5 | 約1.118倍 |
| 20 | 約1.026倍 |
| 21 | 約1.025倍 |
| 25 | 約1.021倍 |
倍率は本数nに対して√{n÷(n-1)}で決まるため、当サイトが計算して小数第3位まで示しました。期間20なら2.6%前後の差です。標準偏差が0.50円のときに約0.01円、1.00円のときに約0.03円というわずかな差ですが、同じ通貨ペア・同じ期間でも、ツールによって±2σの位置が一致しない理由のひとつになります。今回確認したページのうち、割る数まで文字で読み取れたのは外為どっとコムだけでした。
「約95%」は正規分布を仮定した割合です
次は、よく併記される割合の出どころです。OANDA証券は標準偏差の解説ページで、±1σに68.26%、±2σに95.44%、±3σに99.74%が収まるという数字を示しています。これは正規分布という左右対称の分布を仮定したときに、平均からσいくつ分の範囲へ入る割合です。相場を調べて出した実績値ではありません。
同じOANDA証券でも、ボリンジャーバンドの入門ページでは±1σが68.2%、±2σが95.4%、±3σが99%と書かれています。外為どっとコムは約68.3%と約95.4%の2つだけを挙げ、±3σの割合には触れていません。大和証券の用語解説は±2σの約95%だけを書いています。どの資料を読んだかで、手元に残る数字が変わります。
重要なのは、この割合が将来の値動きの確率ではないという点です。OANDA証券は「未来の終値がバンド内に収まる確率を表すわけではありません。過去の終値から標準偏差を求めて描かれているに過ぎません」と明記しています。計算に入っているのは過去n本の終値だけなので、次の1本がどこへ行くかという情報は含まれていません。
考案者の立場はさらに踏み込んでいます。22項目のルールの14番目は、バンドの構築に標準偏差の計算を使っていることを根拠にして統計的な前提を置かないようにという内容です。11番目には、価格の包まれ方を一定に保つには平均を長くするぶんσの倍数も増やす必要があり、20期間の2から50期間の2.1へという記載があります。包まれ方を一定に保つために調整が必要だと書かれていること自体が、期間を変えても同じ割合が自動的に成り立つわけではないことを示しています。
整理すると、約95%は「正規分布を仮定した計算上の割合」、ルールの14番目は「その仮定を持ち込まないように」という注意、OANDA証券の注記は「将来の確率ではない」という確認です。3つは別のことを言っていて、矛盾していません。矛盾が生まれるのは、約95%をそのまま将来の確率として読み替えたときだけです。0〜100の目盛りで水準を見る指標の基準線も、資料によって説明が分かれます。その例はFXのRSIの見方で突き合わせています。
幅の変化には3つの呼び名が付いています
帯の見方としてもう1つ説明されているのが、幅そのものの変化です。外為どっとコムは、バンド幅が狭い状態をスクイーズ、拡大している状態をエクスパンション、ローソク足が±2σラインに沿って並ぶ状態をバンドウォークと呼んでいます。OANDA証券も同じ3つを挙げ、スクイーズは収縮している状態でボラティリティが小さくレンジ相場になる傾向、エクスパンションは拡大している状態でボラティリティが高くトレンドが発生しやすい、バンドウォークは価格が1σや2σに沿って一方向に動いている状態だと説明しています。
バンドウォークは、考案者のルールでも触れられています。7番目は、トレンドのある相場では価格は上のバンドを歩き、下のバンドを下っていくことがあるという内容です。帯の外側は、価格が長く留まり得る場所として説明されています。ルールの19番目には、帯の幅を表すBandWidthという指標の用途として、スクイーズを見つけることとトレンドの変化を見つけることが挙げられています。
使い方としての記載も見ておきます。OANDA証券は、バンドが拡大していくエクスパンションでは順張りをするのが基本で、縮小する段階では逆張りが有利になると書いています。同じ「±2σに触れた」でも、幅が広がっている最中なのか狭まっている最中なのかで、説明の向きが逆になります。幅を見ずに位置だけを見ると、この分かれ道を飛ばすことになります。
ただし、確認した資料に書かれていないこともあります。3つの状態がどの順番で移り変わるのか、スクイーズが何本続いたらエクスパンションと呼べるのか、バンドウォークが終わったと判断する条件は何か。いずれも数値の基準は示されていませんでした。外為どっとコムは、ボリンジャーバンドも万能ではなく、誤ったサインであるダマシが発生することもあると注意しています。OANDA証券もヘッドフェイクという呼び名で同じ注意を書いています。
帯の外へ出たときに確認する順番
ここまでの材料を、確認の順番としてまとめます。価格が±2σの外で引けた、あるいは±2σに触れたという1点だけでは、直近n本の終値の散らばりに対していまの価格が離れているということしか分かりません。そこから先は、自分のチャートの条件を順に確かめていく作業になります。
①の幅は、前の節のとおり説明の向きが変わる分かれ道です。②の中心線は期間内の終値の平均なので、向きの読み方は移動平均線と同じになります。③の設定値は次の節で扱いますが、期間が20なのか25なのかで線の位置が動くため、同じ「±2σ」という言葉が同じ線を指しているとは限りません。
④の足種は見落としやすい項目です。期間20は20本ぶんという意味で、何時間ぶん・何日ぶんになるかは足種で決まります。5分足なら100分ぶん、日足なら20日ぶんです。同じ通貨ペアを同じ時刻に見ていても、足種が違えば別の帯になります。足種と対象期間の対応はFXの時間足とは?1分足から月足までの違いで整理しています。
⑤は材料の重なりの問題です。考案者のルールの4番目は、複数の指標を使うなら互いに直接関係していないものを選ぶべきだという内容です。同じ終値から作る指標をいくつ並べても、見ている材料は増えません。価格そのものの水準で管理する方法はFXの水平線の引き方、系統の違う指標の組み合わせ方はFXのテクニカル指標の組み合わせ方で扱っています。
そして全体の前提として、ルールの6番目と22番目があります。22番目は、バンドは継続的な助言を与えるものではなく、確率が有利になりそうな場面を見つける助けになるという内容です。楽天証券のオンラインヘルプも「この解説どおりに投資判断をしたとしても、必ず利益が上がることを保証するものではありません」と明記しています。この記事で確かめられるのは、自分の画面に出ている帯が何を計算したものかという点までです。
期間とσの初期値は、ツールごとに違います
最後に、実際の設定を確かめます。考案者の既定値は20期間・±2標準偏差ですが、国内のツールの初期値はそろっていません。
| ツール(会社) | マニュアル・ヘルプの記載 | 期間の設定範囲・初期値 | バンドの倍率 |
|---|---|---|---|
| GMOクリック FXneo(アプリ) | ボリンジャーバンドの設定値として「SMA(期間) 1~188、 バンド1、バンド2、バンド3 1 ~3」 | 1〜188(分割チャート設定の期間は1〜100)。初期値の記載は確認できませんでした | バンド1からバンド3に1〜3の値を指定(単位の明記は確認できませんでした) |
| 楽天証券 MARKET SPEED FX | ボリンジャーバンドの初期値として期間25、σ値3.00(ライン1)・2.00(ライン2)・1.00(ライン3) | 初期値25。設定できる範囲の記載は確認できませんでした | 初期値でσ値3.00・2.00・1.00の3本 |
| 外為どっとコム 外貨ネクストネオ リッチアプリ版 | 期間設定について特に決まりはなく、デフォルトの値は21と記載 | デフォルト21。設定できる範囲の記載は確認できませんでした | 倍率の記載は確認できませんでした |
| みんなのFX FXトレーダー アプリ版 | トレンド指標は「単純移動平均線/指数平滑移動平均線/一目均衡表/ボリンジャーバンド/使用しない の5種類中1種類のみ選択可能です。」 | 数値バーをスライドして変更。範囲・初期値の記載は確認できませんでした | 倍率の記載は確認できませんでした |
2026年11月3日に各社のマニュアル・オンラインヘルプで確認した記載です。読み取れることが3つあります。1つめは、期間の初期値が20・21・25と分かれていることです。2つめは、GMOクリック FXneoがバンド1からバンド3に1から3の値を指定する形にしていることで、σの倍率にあたる値と読めますが、マニュアルに単位の明記はありませんでした。いずれにしても、3本の線がそれぞれ中心から何倍の位置にあるのかは、自分の設定値で確かめる必要があります。3つめは、同じアプリでも通常のチャートと分割チャートで期間の上限が違うことです。
みんなのFXのアプリ版には、もう1つ実務上の制約があります。トレンド指標を5種類のうち1種類だけ選ぶ形なので、ボリンジャーバンドを表示している間は単純移動平均線を別に足せません。もっとも、ボリンジャーバンドの中心線は単純移動平均線なので、中心線の向きまでは同じ画面で確認できます。表示する指標をこれから決める段階なら、FXチャートの初期設定はどうする?で足種と表示期間をそろえてから足していくと、条件を固定して見比べられます。ツールそのものの違いはFXの取引ツール・アプリを比較するで扱っています。
確認できなかったこと
今回根拠にしたのは、考案者の公式サイト、FX会社の解説ページ、操作マニュアル、オンラインヘルプ、証券会社の用語解説です。次の項目はいずれにも記載がありませんでした。推測で補っていません。
- 米ドル/円などの実際のレートで、±2σの内側に収まった割合がどれくらいだったか(当サイトでも測っていません)
- ±2σに触れた後に反転した割合や、バンドウォークが続いた本数の分布
- 各社のツールが標準偏差を本数で割っているのか、本数から1を引いた数で割っているのか(式を文字で確認できたのは外為どっとコムだけです)
- スクイーズ・エクスパンション・バンドウォークと呼べる幅や本数の数値基準
- 期間を20・21・25のどれにすると結果が良くなるかという比較
よくある質問
±2σに触れたら逆張りしてよいですか
考案者の公式サイトのルールは、そうは書いていません。6番目はバンドへのタッチはタッチにすぎずシグナルではないとしており、8番目はバンドの外側での引けはまず継続のサインであって反転のサインではないとしています。7番目には、トレンドのある相場では価格が上のバンドを歩き、下のバンドを下っていくという記載もあります。一方でOANDA証券は、バンドが縮小する段階では逆張りが有利になると書いています。同じタッチでも、幅が広がっている最中か狭まっている最中かで説明が分かれます。幅の状態を見ずにタッチだけで決める形は、今回確認したどの資料でも示されていませんでした。
期間は20と21と25のどれにすればよいですか
どれが有利かを示した数値は、確認した資料にはありませんでした。考案者の既定値は20期間ですが、同じサイトのルールの9番目は、20期間と2標準偏差という既定値は既定値にすぎないとしています。国内のツールでは、楽天証券 MARKET SPEED FXの初期値が期間25、外為どっとコムの外貨ネクストネオ リッチアプリ版のデフォルトが21です。外為どっとコムは期間設定について特に決まりはないと書いています。どれを選ぶかより、自分がいま何を表示しているかを把握しておくほうが、記録を後から再現できます。
±3σまで表示したほうがよいですか
資料によって扱いが分かれます。楽天証券のオンラインヘルプは初期値で3.00・2.00・1.00の3本を表示する形にしており、±3σの割合として約99.7%を挙げています。外為どっとコムは±1σと±2σの割合だけを示し、±3σの割合には触れていません。GMOクリック FXneoはバンドを3本まで持ち、それぞれに1から3の値を指定する形です。表示できる本数と、表示したほうがよい本数は別の話です。本数を増やすと、どの線に触れたかの組み合わせが増えるため、記録する条件を先に決めておく必要があります。
移動平均線を表示しているなら、ボリンジャーバンドは要りませんか
中心線は同じものです。楽天証券のオンラインヘルプはボリンジャーバンドを移動平均線と標準偏差で構成されると説明しており、外為どっとコムも中心は単純移動平均線だとしています。違うのは、上下の線が期間内の終値の散らばりの大きさを表している点です。移動平均線だけでは、価格が平均からどれだけ離れているかを目で測ることになります。なお、みんなのFXのFXトレーダー アプリ版はトレンド指標を5種類のうち1種類だけ選ぶ形なので、両方を並べて表示することはできません。
参考資料
- Bollinger Bands「Bollinger Bands」(2026年11月3日確認)
- Bollinger Bands「Bollinger Band Rules」(2026年11月3日確認)
- 外為どっとコム「ボリンジャーバンドとは?使い方や計算式、期間設定」(2026年11月3日確認)
- OANDA証券「ボリンジャーバンドとは|見方・使い方・活用方法について紹介」(2026年11月3日確認)
- OANDA証券「ボリンジャーバンドの基礎となる標準偏差とは?計算方法も紹介」(2026年11月3日確認)
- 楽天証券「MARKET SPEED FX オンラインヘルプ」ボリンジャーバンド(2026年11月3日確認)
- GMOクリック証券「チャート|主要な画面|GMOクリック FXneo 操作マニュアル」(2026年11月3日確認)
- みんなのFX「FXトレーダー アプリ版 操作マニュアル」チャート設定(2026年11月3日確認)
- 大和証券「ボリンジャーバンド」用語解説(2026年11月3日確認)
- GMOクリック証券「取引ツール|GMOクリック FXneo」(2026年8月21日確認)
この記事の更新・確認情報
- 情報の基準日
- 編集部による確認日
- 情報の変動性
- 中(サービス・制度の情報)
- 次回確認予定
- 一次情報の件数
- 10件(本文末の参考資料に記載)
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