FXのドローダウンとは|資金の減り方と回復に必要な利益率

口座資金が直前の最高値からどれだけ減ったかを表すドローダウンについて、測り方、減った資金を戻すのに必要な利益率、1回に失う割合と連敗の関係を計算で示し、取引を続ける・減らす・止める基準の決め方まで整理します。

FXのドローダウンとは|資金の減り方と回復に必要な利益率(FXプロ)
本記事は情報提供を目的としたもので、投資判断を勧誘するものではありません。FXには元本割れのリスクがあります。

FXでいうドローダウンは、口座の資金が直前の最高値(山)から、どれだけ下がったかを表す数字です。金額で「30万円のドローダウン」と言うこともあれば、山に対する割合で「25%のドローダウン」と言うこともあります。ある期間の中でいちばん深かったものを、最大ドローダウンと呼びます。

誤解されやすいのは、測る起点です。起点は入金した額でも月初の残高でもなく、その時点までに記録した最高値です。資金が増えたあとに減った場合、入金額から見ればまだプラスでも、ドローダウンはすでに大きくなっていることがあります。

この記事では、ドローダウンの測り方を仮定の数字で確認したあと、減った資金を戻すのに必要な利益率、1回に失う割合と連敗の関係を計算し、最後に「続ける・減らす・止める」を分ける基準の作り方を扱います。資金を増やす方法の記事ではなく、減り方の上限を先に決めるための記事です。

ドローダウンは「山から谷まで」を測る

開始時の口座残高を100万円とし、決済を重ねて5回目に120万円まで増え、その後10回目に90万円まで減り、15回目に120万円へ戻ったと仮定します。

開始100万円の口座が5回目に120万円の山をつけ、10回目に90万円の谷まで下がり、15回目に120万円へ戻る仮定の推移を示した折れ線図。山から谷までの30万円が山の25%にあたり、谷から戻るには33.3%の利益が要ることを矢印で示している
オレンジの区間が下落、水色の網掛けが回復の期間です。点線は山の水準(120万円)と開始時の残高(100万円)を示します。開始時から見ると谷は10%のマイナスですが、山から測ると25%のドローダウンです。金額と回数は仕組みを示すための仮定で、取引コストは含めていません。

この例のドローダウンは、山120万円から谷90万円を引いた30万円です。割合にすると 30万円÷120万円で25%です。同じ場面を開始時の100万円から見ると10%の減少にしか見えません。どちらも計算としては正しいのですが、資金管理で使うのは山からの数字のほうです。理由は、増えた20万円もすでに口座の資金であり、その資金を使って次の取引の数量を決めているからです。

もう1つ見ておきたいのが、下落と回復の非対称です。30万円下がった口座を30万円戻すのに必要な利益率は、谷の90万円を分母にするため 30万円÷90万円で約33.3%になります。下がるときは25%、戻るときは33.3%。同じ金額でも、戻るほうが率は大きくなります

残高で測るか、有効証拠金で測るか

口座の画面には、確定した損益だけを反映した「口座残高」と、保有中の建玉の評価損益も含めた「有効証拠金」が並んでいます。表示名はFX会社によって違うことがあるため、自分の口座の用語を取引説明書で確認してください。有効証拠金の考え方は有効証拠金とはにまとめてあります。

測る元 含むもの 向いている使い方 見落としやすい点
口座残高 決済して確定した損益 月単位の成績を比べる 含み損を抱えた建玉が残っていると、実際の減り方より浅く見える
有効証拠金 確定した損益+保有中の建玉の評価損益 取引を続けてよいかを判断する 決済前の値動きで毎日上下するため、記録する時刻をそろえる必要がある

取引を止めるかどうかの判断には、有効証拠金のほうを使います。損切りをせずに建玉を持ち続けると、口座残高は減らないまま有効証拠金だけが下がっていきます。残高だけを見ていると、ドローダウンが深くなっていることに決済するまで気づけません。

入金や出金があった場合は、その額を山と現在の値の両方から差し引いて考えます。追加入金で残高が増えても、それは取引で取り戻したわけではないからです。入金したことでドローダウンが消えたように見える記録は、次の数量を決める材料として使えません。

減った資金を戻すのに必要な利益率

図の例を一般化すると、ドローダウンの割合を d としたとき、元の山へ戻るのに必要な利益率は d÷(1−d)です。d が小さいうちは差がわずかですが、大きくなるほど急に増えます。

ドローダウン 残る資金(山を100とした場合) 山へ戻るのに必要な利益率
5% 95 約5.3%
10% 90 約11.1%
20% 80 25.0%
25% 75 約33.3%
30% 70 約42.9%
40% 60 約66.7%
50% 50 100%
60% 40 150%
75% 25 300%
90% 10 900%

10%のドローダウンなら、戻るのに必要なのは約11.1%で、ほとんど差はありません。ところが50%まで減ると、残った資金を2倍にしなければ元に戻りません。90%なら10倍です。表の下のほうに入った時点で、取引の技術で取り戻せる範囲を超えやすくなります

この表から言えるのは、「深いドローダウンを取り戻す方法」を考えるより、表の上のほうで止まるように数量と損失の上限を決めておくほうが、はるかに現実的だということです。取り戻そうとして数量を増やすと、次の損失も大きくなり、表のさらに下へ進む経路ができてしまいます。

1回に失う割合と連敗で、どこまで減るか

ドローダウンの深さは、1回の取引で失う金額と、損失が何回続くかでほぼ決まります。ここでは、毎回「その時点の口座資金の一定割合」を損失の上限にしている場合を計算します。損切り注文を置き、その価格で決済できたという前提です。

1回に失う割合を f、連敗の回数を n とすると、n回続けて負けたあとに残る資金は(1−f)の n 乗です。1から引いたものがドローダウンになります。

1回に失う割合を残高の1%、2%、3%、5%、10%の5段、連敗を5回、10回、20回の3列にとり、各組み合わせのドローダウンと回復に必要な利益率を、ドローダウンが深いほど濃いオレンジで塗ったヒートマップ
左上ほど浅く、右下ほど深くなります。残高の2%を上限にした場合、10連敗で約18.3%のドローダウンになり、山へ戻すには約22.4%の利益が要ります。10%を上限にした場合は、同じ10連敗で約65.1%減り、戻すには約186.8%が必要です。数値は式から求めた計算値で、スプレッド・手数料・スリッページは含めていません。

表の読み方として、次の3点を押さえておきます。

1つ目は、1回の割合を上げると、ドローダウンよりも回復に必要な利益率のほうが速く増えることです。10連敗の列で、割合を1%から2%にするとドローダウンは約9.6%から約18.3%へ、5%から10%にすると約40.1%から約65.1%へ深くなります。同じ組み合わせで回復に必要な利益率を見ると、前者は約10.6%から約22.4%へ、後者は約67.0%から約186.8%へと、いずれも2倍を超えて増えています。

2つ目は、連敗の回数は自分では決められないことです。仮に1回ごとの負ける確率が50%で、各回の結果が前の回に左右されないとすると、ある5回が続けて負けになる確率は0.5の5乗で約3.1%です。負ける確率が60%なら0.6の5乗で約7.8%になります。1回だけの確率としては小さく見えますが、取引の回数が増えるほど、どこかで連敗が起きる機会も増えます。上限を決めるときは、連敗が「起きたら」ではなく「起きる前提」で考えます。

3つ目は、割合で決めると減り方は緩やかになるが、戻り方も緩やかになることです。100万円の口座で、毎回2万円(開始時の2%)という固定額を上限にすると、10連敗で20万円、20%減ります。毎回その時点の資金の2%にすると、減るたびに1回の金額も小さくなるため、10連敗後のドローダウンは約18.3%で済みます。

その代わり、勝ったときに得る額も小さくなっています。2%を失う取引と、2%を得る取引を10回ずつ繰り返すと、0.98×1.02=0.9996 が10回掛かるため、資金は元の約99.6%にとどまります。損切りまでの幅と利益確定までの幅が同じ取引だけで取り戻すなら、約18.3%のドローダウンを埋めるには11回の勝ちが必要です。勝った回数と負けた回数が同じでも、元には戻りません。損失と利益の幅の比が結果にどう効くかは、コツコツドカンとはで勝率と損益比の分岐点として計算しています。

1回に失う金額から取引数量を決める具体的な手順は、初心者のロット数の決め方初心者の損切り設定で扱っています。この記事の計算は、その手順を守れたときに口座全体がどこまで減りうるかを見積もるためのものです。

計算どおりに止まらない場面がある

上の計算には、「損切りの価格で必ず決済できる」という前提があります。この前提は、いつも成り立つわけではありません。

金融先物取引業協会は、ロスカットを「損失が一定の水準に達した時に自動的に取引を終了させて、証拠金以上の損失発生を防ぐ仕組み」と説明する一方で、いかなる場合にも一定の損失額に限定されるものではありませんと明記しています。判定と実行のタイミングに差があるため想定より大きな損失が生じる可能性があること、相場の急変やスプレッドの拡大時には証拠金以上の損失が発生する場合があることも挙げています。

同協会は「FX取引に係る主なリスク」でも、為替相場が短い時間に急激に変動する事象(フラッシュ・クラッシュ)が発生することがあり、そのような急変時には損失拡大を抑制するためのロスカット機能が十分に発動せず、預託した証拠金以上の損失が発生することがあるとしています。自分で置いた損切り注文でも、価格が飛んだ場合は指定した価格より不利な価格で約定することがあります。

金融庁のウェブサイトにある「いわゆる外国為替証拠金取引について」のページ。FX取引の仕組みと、証拠金を上回る損失が生じるおそれがあることなどの注意点が掲載されている
公式ページの引用キャプチャです。 金融庁はこのページで、外国為替証拠金取引を「証拠金以上の多額の損失が生じるおそれのある非常にリスクの高い商品」と説明し、相場が急激に変動したときや、ロスカットルールが適用されても、証拠金の額を上回る損失が生じることがあるとしています。出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」(記載内容の確認日:2026年9月18日)。

同じページで金融庁は、個人が店頭FX取引を行う際は、通貨ペアの種類を問わず取引金額に対して4%以上の証拠金を差し入れ、維持する必要があり、レバレッジに換算すると25倍以下になると説明しています。これは預ける証拠金の下限を定めたもので、ドローダウンの上限を決めるものではありません。25倍まで取引できることと、25倍で取引して資金がどれだけ減るかは、別々に考える必要があります。実際にかけている倍率の確かめ方は実効レバレッジとはにあります。

ここから言えるのは、ヒートマップの数字は下限の見積もりとして読むべきだということです。価格が飛んだ回が1回混ざるだけで、その列より深くなります。上限の割合を決めるときは、表の数字にそのまま合わせるのではなく、余裕を残した側に置きます。ロスカットの仕組みと水準はFXのロスカットとは、証拠金を超える損失が起きる条件は預けた額以上の損失で扱っています。

続ける・減らす・止めるを、取引前に決めておく

ドローダウンの数字は、事後に眺めるだけでは役に立ちません。減っている最中は、「次で取り返せる」という考えが強くなりやすく、そのときに基準を考えると判断が甘くなります。基準は、資金が減る前に決めて書いておきます

決済のたびに有効証拠金を記録し、直近の山からの下落率を計算して、事前に決めた基準Aと基準Bと比べ、基準A未満なら続ける、A以上B未満なら1回の損失の割合を下げる、B以上なら新規注文を止めて記録を見直す、という3つに分かれる判断フロー
上から順にたどり、中央のひし形で3つに分かれます。中央と右の経路は、どちらも下の箱へ進み、下げた割合のまま取引を再開します。図に書いた10%・20%・2%→1%は読み方を示すための例で、推奨値ではありません。

基準は2段にしておくと使いやすくなります。

  • 基準A(減らす線):ここを超えたら、1回に失う割合を下げます。ヒートマップで見たとおり、割合を下げれば同じ連敗でも減り方が緩やかになり、表の下のほうへ進む速さを抑えられます
  • 基準B(止める線):ここを超えたら、新規の注文を出しません。保有中の建玉は、置いてある決済注文どおりに扱い、新しい判断を足しません

AとBの値を決めるときは、回復に必要な利益率の表と一緒に見ます。たとえば基準Bを20%に置くなら、そこから山へ戻るのに必要なのは25%です。これを「自分の取引で、どのくらいの期間をかければ戻せる数字か」と比べて、戻せないと思う数字なら、Bをもっと浅い位置に置きます。

止めたあとに見直すのは、相場の予想が外れた理由ではなく、記録どおりに注文できていたかです。損切り注文を置いていたか、数量は上限から逆算していたか、上限を超える損失が出た回はあったか。これらは記録からそのまま数えられます。月単位で何を数えるかはトレード日記の振り返り方、記録の欄の作り方は初心者のトレード日記の付け方にまとめてあります。

再開するときは、下げた割合のまま始めます。いきなり元の割合に戻すと、見直しの結果を確かめる前に、また同じ深さまで減る可能性があります。元の割合へ戻すのは、有効証拠金が前の山を超えたときなど、数字で決めた条件を満たしたときにします。

記録に残す欄

基準を運用するには、決済のたびに次の欄を埋めておきます。どれも取引画面の履歴だけでは後から復元しにくいものです。

書くタイミング 使い道
決済後の有効証拠金 決済した直後 山の更新と、山からの下落率を計算する
その時点の山 有効証拠金が過去の最高値を超えたとき ドローダウンの分母にする
1回に失う上限(割合と金額) 新規注文の前 基準Aで下げたかどうかを確かめる
実際の損失額 損切りで決済したとき 上限を超えた回、価格が飛んだ回を見つける
入金・出金の額 入出金した日 山と現在値を入出金の分だけ補正する

いちばん大切なのは2行目の「その時点の山」です。山を書いていないと、あとからドローダウンを計算できず、基準Aや基準Bを超えたかどうかも分かりません。証拠金維持率も同時に書いておくと、口座全体の余裕を別の角度から確認できます。見方は証拠金維持率とはにあります。

よくある質問

最大ドローダウンは、何%までなら許容範囲ですか

一律に決まった数字はありません。公的機関や業界団体が、個人の取引で許容すべきドローダウンの水準を示しているわけでもありません。判断の材料になるのは、回復に必要な利益率の表と、自分の資金のうち失っても生活に影響しない額です。その額を超えないように基準Bを置き、1回に失う割合はヒートマップで連敗したときの深さを確かめてから決めます。

含み損を抱えているだけでも、ドローダウンに数えるべきですか

取引を続けるかどうかの判断では数えます。含み損はまだ確定していませんが、その建玉を今決済すれば確定する金額で、証拠金維持率やロスカットの判定にも影響します。口座残高だけで測ると、損切りをしていない期間ほどドローダウンが小さく見えてしまいます。

ドローダウンが大きくなったら、数量を増やして早く取り戻すべきですか

増やしません。回復に必要な利益率の表のとおり、減った状態から戻るには大きな率が要りますが、数量を増やすと次に負けたときの減り方も大きくなります。ヒートマップで1回の割合を上げた段を見ると、同じ連敗数でもドローダウンが深くなることが分かります。減っているときは割合を下げるのが、この記事で扱った計算からの結論です。

参考資料

この記事の更新・確認情報

情報の基準日
編集部による確認日
情報の変動性
低(基本概念の情報)
次回確認予定
一次情報の件数
3件(本文末の参考資料に記載)

金融庁は、外国為替証拠金取引について相場変動、金利変動、流動性、信用、システムなど複数のリスクを挙げています。 ロスカットは損失の拡大を抑える仕組みですが、急変時に証拠金を上回る損失が生じる可能性まで消すものではありません。 「ロスカットがあるから安全」と考えず、取引数量と損切りを先に決めてください。 出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」

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