FX自動売買の必要資金|1本あたりの証拠金と同時に建つ本数で計算する

自動売買に必要な資金は、1本あたりの必要証拠金と同時に建つ本数で決まります。公表されている証拠金率と取引単位から1本あたりを計算し、松井証券・トライオートFX・FXブロードネットのロスカット判定の違いまで確かめて、入金額を自分で出す手順にまとめました。

本記事は情報提供を目的としたもので、投資判断を勧誘するものではありません。FXには元本割れのリスクがあります。

自動売買に入れる金額は、1本あたりの必要証拠金×同時に建つ本数+含み損に耐える余力で決まります。1回の注文に必要な金額だけを見て入金すると、2本目、3本目の注文が建った時点で証拠金が足りなくなります。手動の取引と違って、注文を出す回数を自分で選べないためです。

このうち「1本あたりの必要証拠金」は、相場の予想をしなくても出せます。計算式が各社の取引ルールに書かれていて、個人の口座では規制上の下限も決まっているからです。金融先物取引業協会は、個人顧客を相手方とするFX取引について、必要証拠金額を「取引の額に100分の4を乗じて得た額」として計算すると説明しています(2026年10月7日確認)。

この記事では、松井証券・インヴァスト証券・FXブロードネットが公表している証拠金率、取引単位、ロスカットの判定を突き合わせ、自分の設定で必要になる金額を自分で計算できる形にします。どの会社が自動売買を提供しているか、スプレッドと手数料の適用条件をどのページで確認するかはFX自動売買の比較|公式表記で確認する4項目と13社の記載状況で扱っているので、ここでは金額の計算に絞ります。

1本あたりの必要証拠金は、公表された式で出せます

まず、計算式そのものがどう書かれているかを並べます。

出どころ 公表されている記載
金融先物取引業協会「個人顧客を相手方とするFX取引に係る証拠金規制」 必要証拠金額は「取引の額に100分の4を乗じて得た額」として計算する
松井証券「FX 取引ルール」 (個人)当社生成レート×建玉数量×レバレッジコースごとの証拠金率
インヴァスト証券「トライオートFX 取引概要」 各通貨ペアの時価評価額の4%以上(個人)

いずれも2026年10月7日に各ページで確認した記載です。並び順は本文で触れる順で、評価ではありません。

3つに共通しているのは、金額ではなく掛け算の形だけが決まっているという点です。レートが動けば必要証拠金も動きます。松井証券は、証拠金率がレバレッジコースによって変わることも示していて、スタンダード25倍コースは4%、低レバレッジ10倍コースは10%、低レバレッジ5倍コースは20%、レバレッジなしコースは100%と公表しています(2026年10月7日確認)。同じ数量でも、選んだコースで必要証拠金は25倍の差になります。

ここから、1本あたりの金額を仮定の条件で出しておきます。次の表は仕組みを確かめるための試算で、実勢レートや特定の会社の条件を示すものではありません。

1本の数量(仮定) 1本あたりの必要証拠金 同じ設定が10本建ったとき
1通貨 6円 60円
1,000通貨 6,000円 60,000円
10,000通貨 60,000円 600,000円

いずれも「1米ドル=150円、証拠金率4%」と仮定し、レート×数量×4%で計算した値です。実際の金額は、各社が生成するレートと自分が選んだコースの証拠金率で変わります。必要証拠金そのものの意味を整理していない場合は、必要証拠金とは?FX取引に必要なお金の計算方法を先に読んでください。

自動売買で増えるのは「同時に建つ本数」です

自動売買が手動の取引と違うのは、1回の注文ではなく、注文の並びをまとめて口座へ預ける点です。松井証券は自動売買(リピート注文)を、あらかじめ設定した条件に基づいて生成された売買注文が自動的に繰り返し発注される注文方法と説明しています(2026年10月7日確認)。

繰り返されるなら建玉はいくつまで増えるのか。インヴァスト証券は、トライオートFXの自動売買注文を「新規注文が約定した際に決済注文を発注し、決済注文が約定した際に次の新規注文を発注する仕組み」とし、1つの注文に対して1つの建玉しか保有しない設計だと公表しています(2026年10月7日確認)。1つの注文設定が同時に持つ建玉は1つなので、同時に建つ建玉の上限は、設定した注文の数で決まります。これが「本数」です。

FXブロードネットも、トラッキングトレードのよくあるご質問で、1ロットを保有するのに必要な証拠金額があれば運用はできるとしながら、複数のポジションを保有できる資金を用意するほうがよいと案内しています(2026年10月7日確認)。最低限で動くかどうかと、設定どおりに動き続けられるかは別の話だということです。

1米ドル150円・1,000通貨・証拠金率4%という仮定で、同時に1本なら6,000円、5本なら30,000円、10本なら60,000円、20本なら120,000円と必要証拠金の合計が積み上がることを横棒で示した図
1本あたり6,000円という仮定の値を、同時に建つ本数ごとに合計した横棒です。目盛りは0円から120,000円で、本数に比例して伸びます。仮定の計算例であり、実際の金額はレートと各社の生成レート、選んだコースの証拠金率で変わります。出典:金融先物取引業協会「個人顧客を相手方とするFX取引に係る証拠金規制」、松井証券「FX 取引ルール」、インヴァスト証券「トライオートFX 取引概要」(いずれも2026年10月7日確認)

図の20本の行が、自動売買で起きやすい形です。1本ぶんの6,000円を見て入金すると、2本目が建った時点で残りの余力はほとんどありません。入金額を決めるときに数えるのは、注文の回数ではなく、同時に並ぶ本数です。

取引単位とコースで、同じ本数でも桁が変わります

本数が同じでも、1本の数量が10倍なら必要証拠金も10倍です。その数量の下限が取引単位で、会社ごとに、さらに申込み時のコースごとに違います。

サービス(会社) 自動売買の呼び方 公表されている取引単位 出典・確認日
MATSUI FX(松井証券) 自動売買(リピート注文) 米ドル/円 1通貨単位 FX 取引ルール(2026年10月7日)
トライオートFX(インヴァスト証券) 自動売買注文(トライオート) 1,000通貨単位(ハンガリーフォリント/円、南アランド/円などは10,000通貨単位) 取引概要(2026年10月7日)
FXブロードネット トラッキングトレード ブロードコース 1ロット=10,000通貨/ブロードライトコース 1ロット=1,000通貨 取引要綱(2026年10月7日)

FXブロードネットの行が、コースの影響がそのまま出ている例です。同じ会社、同じ「1ロット」という言い方で、通貨数が10倍違います。先の試算表に当てはめると、1ロットあたりの必要証拠金は6,000円と60,000円に分かれます。ライトコースを選ぶかどうかで、同じ本数の設定に必要な金額が1桁変わるということです。

外為オンラインのiサイクル2取引・サイクル2取引については、当サイトが2026年8月16日に取引要綱から転記した取引単位の記載が「1,000通貨以上〜(L25R 1万通貨コース等は1万通貨〜)」です。今回の確認では、この記載が現在のコース構成と一致しているかまで確かめられませんでした。金額の計算に使う前に、取引要綱で自分が申し込むコースの行を開いてください。通貨ペアごとに例外が置かれる事情は少額取引でFX会社を選ぶ|最小取引単位の例外とコース制の確認点に整理しています。

止まる条件は、割合の名前も分母も会社ごとに違います

必要証拠金の合計が出たら、次はどこで強制決済になるかです。ここを飛ばすと、本数ぶんの証拠金を入れただけの口座になり、少し逆に動いた時点で判定に触れます。

ところが、判定に使う割合は会社ごとに名前も分母も違います。松井証券はリアルタイム維持率を「(総資産−注文証拠金)÷ポジション必要証拠金×100」と定義し、個人口座のロスカット率を50%、60%、70%、80%、90%から選ぶものとしています。追加証拠金の発生条件は、リアルタイム維持率が100%を下回った場合です(2026年10月7日確認)。

インヴァスト証券のトライオートFXは、有効比率100%以下でロスカットが執行され、150%以下でプレアラート、120%以下でアラートのメールが送信されると公表しています(2026年10月7日確認)。FXブロードネットは「有効証拠金が各コースの取引証拠金の設定割合を下回ると自動的に反対売買されます。」と書き、その割合をブロード1は1%、ブロード20は8%、ブロード25は20%、ブロード25Sは100%としています(2026年10月7日確認)。

松井証券のリアルタイム維持率、トライオートFXの有効比率、FXブロードネットの有効証拠金と取引証拠金の割合について、判定に使う割合の名前、分母になるもの、公表されている水準を列ごとに並べた比較図
3社の判定を、割合の名前・分母・公表されている水準の3項目に分けたものです。トライオートFXの欄を「確認できていません」としているのは、取引概要のページで有効比率の計算式を確認できなかったためで、判定が行われないという意味ではありません。出典:松井証券「FX 取引ルール」、インヴァスト証券「トライオートFX 取引概要」、FXブロードネット「取引要綱」(いずれも2026年10月7日確認)

図の下段が、比較のときに取り違えやすい部分です。同じ「100%」が、松井証券では追加証拠金が発生する条件、トライオートFXではロスカットが執行される水準を指しています。数字だけを横に並べて「こちらのほうが余裕がある」と読むことはできません。割合の分母も、ポジション必要証拠金か、各コースの取引証拠金かで別物です。

自分の口座で余力を計算するには、分母に入るのが本数ぶんの必要証拠金の合計であることを押さえます。本数が増えれば分母が大きくなり、同じ評価損でも割合は速く下がります。割合そのものの読み方はFXの証拠金維持率とは?100%・200%の意味、水準から逆算する手順はFXのロスカット水準はどう計算する?具体例で解説にあります。分子に評価損益が入る仕組みは有効証拠金とは?口座残高との違いで確認できます。

FXブロードネットは、よくあるご質問で、ロスカットや証拠金不足による強制決済のルールはトラッキングトレードの利用時にも適用されると回答しています(2026年10月7日確認)。自動売買だから対象外になる、という扱いではありません。松井証券も、ロスカットの実行時には「すべての建玉(自動売買の建玉含む)を強制決済します」と明記しています。

FXブロードネットの取引要綱ページ。コースごとの取引単位、レバレッジ、ロスカットの設定割合、手数料などの条件が項目別に並んでいる
コース選択が金額に効くことを確かめられるページの引用キャプチャです。1ロットの通貨数、レバレッジの上限、ロスカットの設定割合、手数料が同じ表の中に並んでいて、コースを変えるとこの4つが同時に変わります。当サイトはこのページから「1ロット=10,000通貨」「1ロット=1,000通貨」とコース別のロスカットの設定割合を転記しました。キャプチャは2026年8月16日に取得したもので、引用した記載内容は2026年10月7日に同ページで再確認しました。画像内のサービス名・ロゴ・商標は各権利者に帰属します。出典:FXブロードネット「取引要綱」

証拠金とは別に減っていく金額があります

必要証拠金は、建玉を持つために拘束される金額です。これとは別に、約定するたびに口座から減る金額があります。

FXブロードネットは取引手数料を0円としたうえで、トラッキングトレードの利用時には「1ロットあたり新規手数料200円(ライトコースは20円)と決済手数料200円(ライトコースは20円)の取引手数料」がかかると公表しています(2026年10月7日確認)。自動売買は新規と決済を繰り返す使い方なので、約定の回数に比例して積み上がります。何回約定するかは自分の設定と実際の値動きで決まるため、この記事では回数の試算を置きません。

スプレッドの適用条件も、手動の注文と同じとは限りません。インヴァスト証券はトライオートFXのスプレッドについて、自動売買取引は原則固定の適用対象外だと注記しています。手数料とスプレッドを比較表に書くときの分け方はFX自動売買の比較|公式表記で確認する4項目と13社の記載状況にまとめているので、ここでは入金額の計算に、証拠金とは別の枠を用意しておくことだけ押さえてください。

入れる金額は、この4つの順番で出します

取引単位を調べる、1本あたりの必要証拠金を出す、同時に建つ本数を読む、ロスカット判定に当てはめて余力を足すという4つの工程を左から矢印でつないだ図
公表値だけで進められる順番です。第2工程で使う証拠金率は、個人の口座では取引の額の4%が規制上の下限で、低レバレッジのコースを選ぶとこれより大きくなります。第4工程の余力の大きさは公表値から出てこないため、自分で決める部分です。出典:金融先物取引業協会「個人顧客を相手方とするFX取引に係る証拠金規制」、松井証券「FX 取引ルール」、インヴァスト証券「トライオートFX 取引概要」(いずれも2026年10月7日確認)

第3工程の「同時に建つ本数」は、設定を作る画面で数えられます。1つの注文設定が同時に1つの建玉しか持たない設計であれば、注文の数がそのまま上限です。会社や機能によって設計は違うので、自分が使う機能の説明で1つの設定が最大いくつの建玉を持つのかを先に確認してください。ここが分からないまま入金額を決めると、合計の計算が成り立ちません。

第4工程で足す余力は、公表値から機械的には出せません。決め方の筋は1つです。自分のロスカット水準に触れるまでに、どれだけの評価損を抱えられる状態にしておきたいかを金額で決め、それを必要証拠金の合計に足します。ロスカット率を選べる口座では、選んだ率そのものが耐えられる幅を変えます。

公式ページで確認する項目

  • 自分が申し込むコースの1ロットが何通貨か(同じ会社でもコースで10倍違う例があります)
  • そのコースの証拠金率(個人は取引の額の4%が下限で、低レバレッジのコースはこれより大きい)
  • 設定が同時に持てる建玉の上限(1注文で1建玉の設計なら、注文の数が上限)
  • ロスカットの判定に使う割合の名前と分母、そして実行される水準
  • ロスカット率を自分で選ぶ口座かどうか(選択肢によって耐えられる幅が変わります)
  • 自動売買の約定ごとにかかる新規・決済の手数料と、スプレッドの適用条件
  • 確認できなかった項目は空欄で残し、確認したページ名と日付を書いておく

金融先物取引業協会は、個人顧客向けのFX取引についてロスカット・ルールの整備と遵守が義務化されていることを示しています(2026年10月7日確認)。強制決済は会社ごとの方針ではなく、制度として置かれている仕組みです。だからこそ、入金額の計算に水準を組み込めます。

最後に、金額の計算とは別に1つ。松井証券は、スピード注文から行う一括決済について、発注および保有建玉数量には自動売買の建玉は含まれないとしています。強制決済では自動売買の建玉も対象になるのに、手動でまとめて閉じる操作では対象にならない、という向きの違いです。この種の建玉の扱いはFX自動売買の比較|公式表記で確認する4項目と13社の記載状況で項目ごとに並べています。

必要資金の計算は、見通しを立てる作業ではありません。取引単位と証拠金率で1本あたりを出し、設定の本数を掛け、自分の口座の判定式に当てはめる。この3つの数字はすべて公表されていて、注文を1回も出さないうちに確かめられます。

参考情報

  • 金融先物取引業協会「個人顧客を相手方とするFX取引に係る証拠金規制」(2026年10月7日確認)
  • 松井証券「FX 取引ルール」(2026年10月7日確認)
  • インヴァスト証券「トライオートFX 取引概要」(2026年10月7日確認)
  • FXブロードネット「取引要綱」(2026年10月7日確認)
  • FXブロードネット「トラッキングトレード よくあるご質問」(2026年10月7日確認)
  • 外為オンライン「取引要綱」(当サイトの転記は2026年8月16日確認)

この記事の更新・確認情報

情報の基準日
編集部による確認日
情報の変動性
高(相場・条件が変わりやすい情報)
次回確認予定
一次情報の件数
6件(本文末の参考資料に記載)

金融庁は、外国為替証拠金取引について相場変動、金利変動、流動性、信用、システムなど複数のリスクを挙げています。 ロスカットは損失の拡大を抑える仕組みですが、急変時に証拠金を上回る損失が生じる可能性まで消すものではありません。 「ロスカットがあるから安全」と考えず、取引数量と損切りを先に決めてください。 出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」

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